聖剣の刀鍛冶 #3 (3) (MF文庫 J み 1-11)

【聖剣の刀鍛冶 #3 Fool】 三浦勇雄/屡那 MF文庫J


うわああ、かっけえ! セシリー、メチャクチャかっこいい!
カッコ良すぎて、惚れてしまいそうだヨ。
聖剣の刀鍛冶というタイトルではありますが、主人公は間違いなく鍛冶師のルークではなく、騎士セシリーの方。女性ながら、そこらの熱血バカに負けないくらいの熱い正義感の持ち主なのですが、やっぱり時代は変わったよなあ。私が若いころは、こういう熱いバカは男の、それも少年、ガキんちょの専売特許だったと思うんだが。今じゃ女の子が真っ向から熱血勝負でございますよ。
でも、このセシリーがいいのは、男勝りではないところ。その内実は、とても繊細で優しい女性らしさに満ち溢れている。今回、彼女に振りかかった試練は、その女性の部分を手酷く傷めつけ傷つけることになるのだけど、彼女の熱血主人公としての姿と年頃の若い娘としての姿が見事に両立されていることこそが、彼女の途方もない魅力になっているように思うわけですよ。
あんな、断崖絶壁の上から一瞬のためらいもなく身を投げるとか、普通できますか? 単純な正義バカのように考え無しなのではなく、常日頃から自身の無力さや頭のよくない自分の行動に思い悩み、迷い、自分に出来ることは何なのかに苦しみ続ける、きっと普通の人間よりも深く考える人なのでしょう。でも、ここぞというときは敢えてバカに徹し、自身が愚かである事実を受け入れ、瞬発的に迷いを消し去り、即断即決するその潔さ。
それは自分がバカであるという妥協ではなく、自分の手でつかむ選択。その迷った末の迷いのなさが、めちゃくちゃカッコイイ。
今回だって、この娘。えらいことに直接的にはだれの助けも借りず、誰の手にも引っ張って貰わず、どん底のどん底から自分で這い上がり、立ち上がり、打ち砕かれた矜持や誇り、尊厳を自分独りで取り戻したんだから。それが、周りの暖かい支えがあったからとはいえ、えらい、とてつもなくえらくてカッコいい。
そして、自身を傷つけ、大切な人々に悪意を振りまく相手に、再び敢然と立ち向かおうというその姿勢。これこそ、主人公の器に相応しい。

でもね、同時に彼女はやっぱりヒロインなんですよ。

そんな彼女を庇い、代わりに悪意の主ジークフリートに刀を向けるはその場にいるはずのない人、来るはずのなかった人間。ルーク・エインズワース。
もうこのシーン、セシリーの歓喜と相まって、鼻血吹きそうになりましたよ。
めちゃくちゃルークがカッコイイ! あの無愛想な男が、セシリーの為に怒り狂ってますよ? かつてないほど激怒状態ですよ?
なに、この白馬の王子様。あんた、最高だよ!

ルーク、リサ、アリア。この物語の登場人物たちは、それぞれが抱えきれないほどの闇を抱え、いつかその負債を履行させられる時を待っている。
それでも、セシリーがセシリーである限り、これはきっと希望の物語だ。彼女と出会ったことで、ルークたちは皆、すでに緩やかな破滅への享受から逃れ出ようとする意志を彼女から与えられたのだから。

あの悪意の塊ジークフリードも、彼女の輝きに動かされる時が来るのだろうか。彼の暗黒は、あまりにも激しすぎて、その激情の裏にはどこか大きな心の傷が垣間見えるんですよね。彼は、以前はもしかしたらとてもセシリーに近いメンタリティの持ち主だったのかもしれない。だからこそ、セシリーたちをあんなにも憎悪してるようにしか見えない。単なる悪役とするには、彼のド汚いまでの悪意は逆に嫌悪するだけではいられない、なにか悲鳴のようなものが感じられるんですよね。

なんにせよ、面白かった。メチャクチャ面白かった。巻を重ねるごとに盛り上がってきたなあ。ひゃひゃ、セシリー、めっさ好きですヨォ。