身代わり伯爵の潜入 (角川ビーンズ文庫 64-6)

【身代わり伯爵の潜入】 清家未森/ねぎしきょうこ 角川ビーンズ文庫


意外と言えば意外だし、改めて指摘されてみるとそういえばそうだと思わされた。ミレーユって、特に特技らしい特技って持ってなかったんですね。
いや、これまで自分が読んできた少女系レーベルの女の子の主人公って、何かしらの特技や特殊能力を持ってたり、何でも人並み以上にこなせたりという人たちばっかりだったので、成り行きから騎士団で見習い騎士として働くことになったミレーユが、なんも出来ないのを見て、今更のように驚いてしまったり。
そういやこの子、パン屋の娘として育った庶民の子なんですよね。いつも元気爆発だったから、普通に剣とかも使えるように思いこんでたし、事務処理能力も高等教育受けてないから、全然ないも同然だったのか。
……でも、これって最初の時の、兄貴である伯爵の身代わりをさせようって時にある程度教育しとけって話ですよね。流血女神伝のカリエほど詰め込めとは言わないけど。
とはいえ、この手の女の子の長所は、やはり負けん気の強さだわなあ。前向きでへこたれず、へこまされたら逆に剥きになって奮起する。あきらめないし、屈しない。何もできないから、とそこで立ち止まらないのが偉い所。
特にこのミレーユは、猪突猛進なくらいの勢いで突っ走るから、誰にも止められない。
止められないのが分かっているなら、リヒャルトはあそこで覚悟を決めるべきなんだよな。こいつ、ミレーユのことわかってるようで全然わかってないですよ。どれだけ突き放したって、付きまとわれるんだから、それなら目に見える手元に置いておいた方が実際的にも安全じゃないのか? 放っておいたら何をしでかすか分からないのは、これまでも嫌というほど思い知らされているはずなのに。
結局は、自分が惚れた女は自分の手で守る、という決意と覚悟が足らんのですよ。ビビってるのですよ。そのくせこの野郎、手を出しやがって手を出しやがって(笑
こりゃもう、無自覚にあんな可愛いことwあの場面でほざくミレーユが悪いんですけど。だいたい、結婚までしていいとまで思い、危険な場所まで一人で追いかけてきていながら、未だに好きかどうかよくわからんなんてヒドイだろうが。
いやいや、そうでもないか。ひどいのはやっぱりリヒャルトの方ですよ。好きだ、という決定的で後戻りできない一言を言うことなく、ミレーユはリヒャルトに対して甘すぎる言葉や提案を投げかけてくれているというのに、それを突っぱねちゃうんだから。
ミレーユの復讐発言は正当だと、判決します。控訴は認めません。

今回は潜入編ということで、シアラン公国での内紛は次回からが本格的に動き出しそう。兄ちゃんの独り言からすると、ミレーユそのまま残るルートになるのかなあ。