時載りリンネ! 4    とっておきの日々 (角川スニーカー文庫 203-4)

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そういえば、Gことジルベルトって時載りじゃなくて普通の人間なんだったよなあ。時載りであるリンネや、その母。ルゥたちがむしろ実在的な存在感を示しているのとは裏腹に、Gはその私生活が垣間見えないからか神秘的な印象があったんですよね。
「ジルベルト・ヘイフィッツの優雅な日々」は、そんなGの日常をひょんなことからリンネたちが追いかけることになったお話。
浮世離れしている、のとは少し違うんだけど、その日常が明らかになってもやっぱり神秘的な印象は拭い去れないG嬢。意外と生活感はあるんだけどね。でもやっぱり、そこは普通の人とは違うわけで。一番近いのは学究の徒、というところか。俗世から一歩退き研究に没頭する老教授などにイメージは近いかもしれない。単に、図書館の主、という観点からのイメージかもしれないけど。
ただ、17歳という年齢としては老成してるよなあ、やっぱり(苦笑 学校に行け、なんて無粋なことは間違っても口にしないけど。Gには書庫が似合ってるし。
あの静謐な空気に溶け込むような存在感、それでいてはしゃぐリンネを時に優しく、時に厳しく見守る姿は、十代とは思えぬ大人びたモノだものなあ。
遊佐のあの最後の行動はかなり意外だったんだけど。え? 遊佐ってそうなの?

「凪、凪、夕凪」は、前々から何度か話題になっていた凪の日の実録。
久高のお兄ちゃんっぷりには、まったく頭がさがる。敬服に値する。その年齢にして、我慢と労わりをそこまで備えているというのは、実に素晴らしい。リンネ相手の時と、だいぶ印象も違うんですよね。同い年の友達とはしゃいでいるときと、妹と過ごすときはやっぱり男の子って態度も考え方も違うものです。いささかぶっきらぼうでぞんざいな態度を妹にとってしまうのも、無理からぬこと。というか、そういう姿が普通なんだよなあ。ただ、内面の心理機動は一般的なこの年頃の男の子と変わらないのに、彼が尊敬に値するのはその衝動に身を任せず、じっと我慢するところ。えらい、めちゃめちゃ偉い。私が親だったら、手放しで褒める。自分の息子を誇りに思うよ。
凪は凪で、この子もえらいんだよなあ。この歳にして、自分が背負ったものの重たさをよく理解している。ただ、純粋である幼少時であるからこそ、凪は自分の能力をよく制御下においているとも言えるんだけど。世相に揉まれ、知識を得るに従って様々な欲求が増えていくと、彼女が背負う負担はとんでもない大きさになっていくはずで、大変だろうに。
しかし、お母さんだったか爺さんだったか忘れたけど、凪の日、という彼女の心理的ストレスを解放させる日をちゃんと作った人は、偉いわ。ただ押し込めているだけじゃ、どっかで絶対に破綻するんだから。それを見越して、あれだけの危険な力を無制限に使うことを許すとか、普通怖くてできないよ。まあ、元々彼女が力を使わないのは外的な封印ではなくあくまで彼女の意志によるものだから、今更と言えばいまさら何だけど。でも、黙って力を使うのと、ちゃんと親から許されて力を使うのじゃ、凪にとって心理的にもまったく別のことだろうし。うん、よくやるもんだ。

久々に爺さんからの手紙も。相変わらず、お爺さんからの手紙は芸術に値する名文だわ。この人の手紙は、読むごとに新たな感動を覚えさせられる。