幻想譚グリモアリスII  千の獣が吼ゆるとも (富士見ファンタジア文庫 か 7-1-2)

【幻想譚グリモアリス 供\蕕僚辰吼ゆるとも】 海冬レイジ/松竜 富士見ファンタジア文庫

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おお、あははは、すげえすげえ。アコニット、髪の色茶色に染めて、カラコン入れて、制服着たらちゃんと普通の女子高生に見えるじゃないですか。
というか、あんまりにも普通すぎて笑えたw 髪の色とか変えるだけで、ここまで雰囲気変わるんだ。

「この私と、恋仲になろうってこと?」
「何て無礼な人間なの。この私を呼びつけておいて、そんなことを、軽々しく口にするなんて……。誓護でもないくせに……」
「せ、誓護だってだめよ。何を言ってるの」


もうそんなに好き好きですか、はいはい御馳走様(笑
この娘の居丈高さや貴族としての気位の高さ、他人に傅かれるを当然とする性格は、もはや脱ぎ去る事のできない彼女の本性そのものであることは間違いないんですよね。多分、彼女の立場や感情がどう転がっていっても、ここは変わることがない。ただ、同時に彼女の本質はと言えば、誓護が言っているように(ちゃんと気付いているあたりが心憎い主人公なんだが)、気が弱くて臆病で心優しい、その力とは裏腹のか弱い女の子に過ぎないわけです。
アコニットの魅力は、その極端ともいえる両方の性質がお互い反発し合わずに同居しているところなんでしょう。ある意味、仕えるにこれほど甲斐のある、守るのにこれほど意義を感じる姫君も珍しい。
だからこそ、彼女の守護者となるキャラクターたちの男性率が高いのかもw

ミステリー文庫からファンタジアに移ったことで、作品の内容もググッと変わってどうなることかと思いましたけど、異能の力を手に入れたとはいえ、誓護の武器はやはり閃きと策略。その大胆不敵な二重三重に張り巡らされた知略と、それを次々に見切りながらむしろ真っ向から突き破っていく今回の敵・オドラの攻防は見応えあったなあ。
しかも、叛逆者として冥府を追われ、刺客を差し向けられ続ける追い詰められたアコニットを救うために、誓護が導きだした起死回生の策。こう、状況に流されるんじゃなく、自分から飛び込んで目の前の敵ではなく状況そのものをひっくり返す手を自ら導きだし、全体を巻き込んで動かそうとする能動的な主人公って、けっこう珍しいかも。その動機が野心でも好奇心でもなく、単純にアコニットを助けるため、というのが騎士さまらしくてカッコいいじゃないですか。いや、彼騎士でもなんでもないんですけどね。
普通、そこまで入れ込む相手に対する感情を、友情と言い切る神経がわかんないですけどw
なんか<友情>の部分だけ単語間違えているとしか思えないんですけどね。その単語部分以外の全部が、恋情を指し示しているだけにw

ただ、その局所的な鈍感さを省くなら、知勇を兼備し義に篤く大胆不敵で常道にとらわれないその性格、大変魅力的なのは間違いなく。軋軋や、今回のキングの変転もまた、アコニットだけではなく誓護の人物に惹かれて、と言うところは大いにあるはず。実際、キングはアコニットだけではなく誓護の名も上げて、その命運を託すと言い切りましたし。
同じ男にも魅力的と映る、イイ男なんですよね。そりゃ、アコニットもメロメロに惚れるわ。
……メロメロに惚れてますよね?


と、アコニットの置かれた立場に対して、逆転の手を打ちつつある誓護ですが、その思惑を超えて、大変な展開が。
鈴蘭、一番急所を攻めてきたなあ。これは次回、色々ときわどい展開が待っているのかも。