MA棋してる!(1) (富士見ファンタジア文庫 み 2-1-1)

【MA棋してる! 1】 三浦良/ぽぽるちゃ 富士見ファンタジア文庫

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うわ、これは……ちょっとびっくりするくらい王道の魔法少女モノ。ええ、そりゃもう、完璧真っ当な。というか、ライトノベルでこんなに直球な魔法少女モノってあったっけ? ありましたっけ?
異世界からマスコット型の来訪者が、現実世界の女の子(要小学生)の前に現れて、魔法と言う新しい力を与えてくれる。以降、そのマスコットをパートナーに異世界が原因の魔法関係の事件を解決。そのうち、自分と同じように魔法世界のマスコットを相棒とする同年代の少女と遭遇。最初は敵として衝突するものの、後々は協力して事に当たるようになる、みたいな?

多少、前提やロジックは異なるものの、こうして考えると素晴らしくテンプレート通りだわなあ。面白いのは、今のところライトノベルでここまでテンプレート通りに構築された魔法少女モノがほとんど存在しないというところ。
おかげで、懐かしくも妙に新鮮な気持ちで読む事が出来た。作り方が非常に丁寧で、慎重なほど話の土台やキャラクターの立脚を大事にしている、というのもあるんだろうけれど。
うん、この迂遠なくらいに丁寧な筆致も、今回書こうとしている作品の作風に合致しているのかもしれない。
主人公の女の子がまた、なんとも落ち着いた思慮深い性格で。小学五年生なんだけど、両親が、名人級の将棋棋士と史学博士というのもあるんだろうけど、変にギャーギャー騒がない子なんですよね。ただ、子供っぽくない、のとは違うんだよなあ。大人びているのとも少し違う。あくまで子供なんだけど、よく出来た子供っているじゃないですか。作中では、見た目は同年代の子より幼く見えるくらい小さいのに、友達やクラスメイトからは「おねえさん」的な存在として頼りにされてる、という風にも描写されてるけど、なるほど的確な表現。しっかりもので、落ち着いた、でもひねたところも斜に構えたところもない、素直にすくすくと育ってる純心な子供さん。
この子の視点があるおかげだろうか。彼女に魔法を教えることになるソフィーが守銭奴で色々とややこしい性格の持ち主で、一見するとただの難儀な迷惑モノにしか見えないんだけど、彼女が思慮深い、でも真っ直ぐな視線で見ているからか、傍から分かりにくいその意外なほど公正で真っ当なソフィーの本性が見えてきて、ラストで明かされる彼女に課せられる重要な役割も、まあやってみたら意外とアリなのかもしれない、というのが透けて見えてくるわけです。
その辺が理解できていない他の人間からすると、彼女は不適格者以外のなにものでもないんですけどね。
二人の異文化交流も、地味ながらもそのすり合わせがなかなか面白かった。変にテレビとか魔法・科学の存在に仰天するような派手なものじゃなく、ちょっとした認識の相違や、概念の有無による混乱とか、対話によって発覚するその相克と解消が、地味であるが故に興味深い仕上がりになってて、その辺もっといろいろ読みたかったかも。

んで、やっぱり肝となるのが将棋魔法か。
とある理由から、魔法世界元来の魔法を発現させる式を初期化し、主人公・奏がオリジナルで構築式を創造することになってしまった時、彼女が魔法を発動するシステムとして選んだのが、将棋!
さすがに、普通の将棋のルールを魔法戦にあてがうことはさすがに無理なので、実戦を通じてアレンジしていくことになるんだけど、この魔法がやっぱり面白い!
駒として起動した魔法を動かし、棋譜を構築。穴熊囲いや中飛車などといった将棋における戦法がそのまま、魔法として発動するわけなんですが、これが見てるとなかなか燃える。
しかも、敵の魔法戦術を将棋と同じように先読みして、此方の魔法も構築していかなくてはならなくて、単純に将棋の戦法を繰り出してぶつかり合うのではなく、将棋と同じように敵の動きを読みながら手を繰り出していかなくてはならなくて、その駆け引きは今後ともかなりの見ごたえある場面となってきそう。
相手の魔法は、もちろん将棋を元にしたものと違い、今回の相手となる魔法少女はあれ、プログラム言語を基盤とした魔法になるのか。根本的に異種魔法格闘戦、みたいな様相になるわけで。
お互い、相手の魔法の構築式の元となるものはわかるんだけど、お互いに将棋やプログラム言語なんかよくわかんないから、手探りしながらの駆け引きの色の濃い戦闘になるわけです。これ、噛み合わせとか、戦術の構築とか、けっこう戦闘の形態を整えるのは難しそうなんだけど、これが乗ってきたらのちのちとてつもなく面白くなってきそう。
そのへん楽しみなんだけど……でも、書くの難しそうだなあと心配でもある。
でもまあ、そのへんは期待してます。面白かった、続きが楽しみ♪