サーベイランスマニュアル 3 (GA文庫 せ 1-3)

【サーベイランスマニュアル 3】 関涼子/真田茸人 GA文庫

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前々から兆候あったけど、獣化とか戦闘モノとかの要素はゴッソリそぎ落とされて、ほぼ完全に感染疾患モノになってきたなあ。
この作品全体に深ッと横たわっている静謐で透明な絶望感、なんかがあってなんなんだろう、とずっと考えていたんですが。
病院。
そう、病院なんですよね、このイメージ。それも、人気もなくシンと静まり返った清潔で真っ白な病棟。
この漂う優しくも柔らかい絶望感は、きっと主人公のものなんだろうけど。この主人公は、やっぱり特異だよなあ。自身の絶望を完全に受容仕切ってる。自己に対する執着が極端に薄い、ってこともあるんだろうけど、それを周りの人間に明確に察知させない点がやっぱり異端。周りの人間に対する優しい視線、真摯でひたむきな姿勢はとてもじゃないけど自分の存在を見切ってしまっている人間のモノとは思えないもんなあ。
だからこそ、他人を受け止め、包容するように受け止めることが出来ている、と言えるのかもしれないけど。
他の罹患患者が助かる可能性が出てきたことで、余計に彼の儚さが浮きあがってきたようにも見える。
そんな彼の優しさに影響を受け、寧が普通の女の子のような情動を芽生えさせてきたことは、ある意味皮肉な話なわけで。彼に出会う前は、彼女こそが儚く幸薄そうに浮世離れした在り様をもって、周りのレックスたちを見守る存在だったのに。
入れ替わるように、亮輔が現実から乖離していくようで、死すら通り越し存在そのものが最初からなかったのだと言いたげに、遠ざかっていく感覚。

こんなに静謐で落ち着いた雰囲気に包まれているのに、なんかどうしようもなく陰惨で酷薄な話を目の当たりにしているようで、読み終わった後もどうにも落ち着かない。
朝緋の扱いと言い、この作家さんって黒いというか残酷というか、嗜虐とは別の種類の、淡々と切り刻んでいくタイプの怖い書き手だなあ、と。