ゼペットの娘たち 2 (2) (電撃文庫 み 11-4)

【ゼペットの娘たち 2】 三木遊泳/宮田筝治 電撃文庫

Amazon


Marvelous!!

ああ、素晴らしい。恍惚となるこの多幸感。幸せ麻薬が脳内からドパドパ排出されてくる。
素敵に最高♪ 
この作品に出てくる人々は、みんな隣人を愛する人々なんですよね。
たとえば、主人公のサツキ・クガ。こいつは、どうしようもないダメ人間です。ダメ人間って言っても、人格的に歪んでいたりするわけではなく、単純に機鋼人形師という自身の仕事に対する偏愛っぷりが度を越してしまって、ワーカーホリックとか仕事が趣味というレベルをすら越えて、仕事をすることが悦楽とか快楽とか異常性癖と呼んだ方がいいんじゃないだろうか、という段階にまで至ってしまっているような人間で、だから仕事に関すること以外は対人能力・生活能力・自己保存本能に至るまでまるで人並み以下。
機鋼人形師としての技以外は、本当に何もできないダメ人間なわけです。
だけど、彼の故郷の人間、彼が新たに住むことになった街で知り合った人々は、そんな彼のダメな部分をも含めてサツキという少年を愛し、慈しみ、見守っています。
サツキは、人間関係の機微なんかこれっぽっちも分からない野郎なので、自分がどれほど自分の周りの人々から見守られ、助けられてるかなんて、さっぱり気づいていない大バカ野郎ですが、彼は彼なりに真摯な仕事振りと責任感、実直な態度で周りの人間たちが惜しみなく与えてくれる愛情と信頼に応えているんですよね。ほんと、自分のことですらろくに面倒見れない少年ですけど、ついついみんなが手を貸したり、助けたくなったり、素直に面倒見てやりたいと思ってしまう、いい子なんですよ。
ダメ人間だけどw
トルネードが彼のこと、変態変態って言ってるけど、今回の不気味な態度みてると、確かに変人を通り越して変態だわなあww

そんな彼を慕うハリケーンは、前途多難だわ。まだまだ生まれたばかりで精神的に幼い部分の多い彼女だけど、そんな彼女の真っ直ぐな想いはあのサツキでは、まったく届かないわけで。
ハリケーンがメキメキと精神的に成長して行っているのは、サツキが相手だからなんじゃないだろうか。分かりやすいくらい純真なハリケーンの心の機微、それを察してくれる相手に対して想いを寄せるなら、ハリケーンも苦労することもないだろうから、特に成長する必要もないんですよね。でも、サツキには上手く気持ちが伝わらない。なにもわかってくれないわけじゃないんだけど、肝心なところは通じなくてもどかしい。幼いハリケーンにとっては、自分の気持ちというものを正確に把握し理解しているわけでもなくて、そうした曖昧な部分を察してくれない人を相手にしている以上、必要以上に自分の内面、他者との相対性、世界における自分という存在の在りようについてまで、想いを馳せないといけないわけで、それが必然的にハリケーンの内面的成長を促す結果を導いているように見える。
人間でも人形でも、苦労させられる相手が身近にいると否応なく成長しないといけないってことだわな。願わくばトルネードみたいにならないように、今の素直な彼女のまま成長してほしいところだけど。でも、あれが相手だと多少は捻くれてしまうかなあ(笑

今回、ポーっと見ていて一番素敵な関係に見えたのが、エレガンテとレイン・ミラーだったのは自分でも意外だったかも。
レインは人形の性別は特に意味を持たないみたいな認識をしているみたいだけど、エレガンテがレインに対して抱いている感情って、きっと男性へのそれ、だよなあ。ハリケーンと同じくエレガンテも生まれたばかりの人形だから、自分の感情に対して明確な定義づけは行っていないようですけど。
レイン・ミラーとエレガンテ。機鋼人形同士の不思議な共生関係。第五話では、機鋼人形のストリームと人間のレグというカップル(カップルだよね、あれはどうしようもなく)の、恥ずかしくなるような初々しい関係を見せられているだけに、余計にこの二人の不思議な関係は目についたのかも。

そんで第6話は、ニコ・メイビスのお話。
この人、男装して男の言葉使ってるけど、根っこは思いっきり女の子だなあ、と祖父への捨て台詞見て認識を新たに。
だから、女としての彼女は決してニコは否定しているわけじゃないと思うのよね。仕事柄、伏せているだけで。彼女不器用だから、両立できなさそうだから。
だから、サツキが心奪われてしまった女のニコは、決して幻ではなく……。
仕事しか頭になかったサツキの中に芽生えた想い。ニコも、屋敷に彼を引っ張っていったあたり、決して意識していないわけでもなさそうで。
その辺も、面白くなってきそう。

ああ、それにしても素晴らしかった。最高でした♪