狗牙絶ちの劔2  ―刀と鞘の物語― (富士見ファンタジア文庫)

【狗牙絶ちの劔 2 ―刀と鞘の物語―】 舞阪洸/うなじ 富士見ファンタジア文庫

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おおっ、想像していたのと違ってえらいハードな展開に。
私、一巻を読み終えた段階でこの展開、狗牙絶ち指導陣の狂言だと思ってたんですよね。突発的な危機に対して、合宿に参加した若手の狗牙絶ちたちがどう反応し行動するかの実地研修みたいな。
ところが、実際に死体は出てくるわ、同じ若手にも行方不明者が出るわ。どうにも怪しい緊迫した展開に。典型的なバトルものの話かと思いきや、次々と人が消え、殺されていくという、ある種の孤立した洋館ミステリーものに。これは想像してなかったw
過分にして知らなかったのですが、この作品ってドラゴンマガジン誌上で読者の投票により先の展開を選択するという形式を取ってるのだそうで。また、随分とチャレンジャーなことしてますよね。こんな企画、下手な作家じゃグダグダになってしまいそうなものだけど……うん、まあこの舞阪先生なら上手いこと仕上げてくれそうな安心感はありますね。こういう外部からの入力を、自分のものに消化して出力する懐の広さみたいなものが感じられる作家さんですし。しかし、アイデアを次々と生み出しては半分以上捨てていかなきゃならないんだから、こりゃあ労力掛かるわ。頑張ってくださいってなもんです。
しかし、これだと今のところまだ狂言という線は消えてないんですよね。駿が上手いこと探偵役となって事件の矛盾点を暴いていっていますけど、今のところまだこれが狗牙の仕業じゃなさそうだ、発見された死体が殺されたと言われている本人のものか定かではない、内部に協力者、犯人がいるんじゃないか、というまだ事件の方向性が見出されてきた段階で、真相とは程遠いところにあるわけだし。
……うーん、でも今更これが特別訓練でした、みたいな拍子抜けな展開はちょっと考えられないか。遊眞師匠の方であんな決定的な展開があったわけだし。
双子と明はいいキャラなので、退場にならなきゃいいんだけど。

さて、香月と駿ですけど、今回初対面の人たちからも恋人じゃないという事実に不思議そうな顔をされるくらい、息の合った絶妙な掛けあいがひっきりなしで、もうニヤニヤし通し。
意識し合う照れ照れな関係や、ツンツンと尖った角でつつき合うツンデレ関係もいいですけど、過剰に意識し合うことなくさりとて全く意識しないというわけでもない、自然で歯車がかみ合うようなこの二人の関係は、見ていてほんとに心地よいというかのど元を擽られるというか、とにかく気持ちいい。
そうか。この二人って同作家の【火魅子伝】の九峪と清瑞の主従関係を逆転させて熟成させてスポットを当てたようなスタイルって感じなのかな。
しかし、駿は普通にスケベ少年で屈託なくていい主人公だなあ。変態じゃないし。

次回は来年の夏だそうだけど……長いなあ。かなり待ち遠しいんだけど、長い長い。