二人で始める世界征服 (MF文庫J)

【二人で始める世界征服】 おかざき登/高階@聖人 MF文庫J

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主人公側が悪の秘密結社というパターンは今までも何度かお目にかかったことがあったけど、これはその中でも一番好きかもしれんなあ。

とりあえず、あとがきを読んで愕然としたのが、肝心の作者が幼馴染ヒロインのありすのポンテンシャルの高さについて、まるで認識していなかったところでしょうか。
本来は噛ませ犬でしかなかった彼女をプッシュさせた編集さん、超ウルトラファインプレイ。いや、実際ありすほどヒロインスペックの高いキャラクターは、なかなかお目にかかれませんよ。
両親を失い経済状況も苦しいにも関わらず、そんなことはおくびにも出さない明るく兇暴なくらいのパワフルな性格。主人公に対して手足のすぐ出る屈託のない態度とは裏腹の、健気な想い。
パーフェクトですよ、パーフェクト。
自覚なしに彼女みたいなキャラクターを書けるというのは、凄いというべきなのか不安に思うべきなのか。

とはいえ、この作品のまったりとしたほのぼの感、読後感の心地よさを引き立てているのは、主人公の竜太の良い人っぷりじゃないでしょうか。
いきなり改造されてしまったにも関わらず、仕方ないなあと笑って許す温厚さ(…いや、怒れよ)。変に暴走しがちなラブンツェルの手綱を握って方向修正してあげる良識人振り。それでいて、彼女やありすのピンチには躊躇なく渦中に飛び込み、彼女たちを苦しめる悪党には激情を隠さない行動力と正義感振り。
ドラゴンに変身した時の偽装した紳士なキャラクター付けも非常に味のあるキャラになってて、彼の行動見てるのが楽しくて仕方なかったですね。

世界征服をもくろむ悪の秘密結社と言いつつ、いざ困ってる人、危険なことに遭遇しそうになってる人を目の前にしてしまうと、やることは人助け。
そんなほのぼのとした空気を醸し出してるキャラクターたちなんですけど、そのわりに竜太にしても、千紗もありすも意外なほど重たいもの背負ってるせいでしょうか、そんな彼らがもたらしてくれる空気だからこそ、変にぬるすぎた温度にならないポカポカとした心地よい雰囲気になったのかも。
ヒロイン二人も上手いことかちあって、一般戦闘員(というにはなかなか優秀な)も加わって、これは続いてくれたら嬉しいですね。
面白かった。

ちなみに、悪いが私は圧倒的なありす派ですよ?