封殺鬼―鵺子ドリ鳴イタ〈4〉 (ルルル文庫)

【封殺鬼 鵺子ドリ鳴イタ 4】 霜島ケイ/也 ルルル文庫

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ああ、そうだったのか。以前から幾度か触れられてきた桐子の心の洞。埋まることのない空隙。
どうして、聖と弓生という存在が傍らにいながら、桐子の心の空隙が埋まらないのか不思議に思っていたんだけど、確かにこれは聖たちでは決して埋められないわなあ。切ない。
悠久の時を生き続ける鬼である聖と弓生にとって、一番大切なのはお互い通し。二人であったからこそ、この無限の時を生きてこられた。だからこそ、片割れがいなくなれば残されたもう一人は狂うしかない。
人間であり、百年も生きていないだろう桐子では、絶対に届かない絆。どれほど自分を大事に思っていてくれても、大切にしてくれても、それは彼らが相棒に抱くそれには決して敵わない。自分は選ばれない。
その天性の才ゆえに、わずか十歳のときに、愛する兄を殺し、従兄を殺してしまった桐子。ダキニの異名をとるほどにその冷酷さと凄まじいまでの力で恐れられる少女だろうと、まだ十四歳の女の子であることに違いはないのですよ。自分を、愛してくれる人を求める女の子でしかない。
だけど、彼女はそれを諦めてしまっている。優しかった兄の幻影を封じ込め、見ないふりをして諦観を身に宿し、神島当主としての自分に徹している。
確かに、洞だ。
そんなものを目の当たりにして、やはり志郎は傍観者を気取っていられるほど世捨て人ではなかったな。
常から穏やかな彼が本気で怒り、悲しみ、他人の心を土足で踏みにじる行為と知りながら、桐子の欺瞞を彼女に突きつけた彼は、もうぼんやりと事態を眺めていることを、許容し続けてはいられないだろう。
もっとも、彼女と<友達>になった段階で、そんな立場は遥か彼方のことなんだろうけど。

一方で、そんな使役でも部下という関係でもない志郎という男の存在は、桐子の心に多大な影響を与えつつあるように見える。
なんとなく、はじめの頃は頑なだった彼女の態度の中に、屈託のないものや十四歳の少女に相応しい言動が増えてきたように思うのは気のせいだろうか。
宇和島夫婦など、当主としてではなく桐子個人を心配し、心から尽くしてくれる相手が現れたことも大きいのだろうけど。
宇和島の奥さんなんか、桐子にとって母親みたいな感じすらあるのかも。全然敵わないって雰囲気だしね、あの桐子が。
そんで志郎といるときとか、志郎のことを考えてる時の桐子は、本当にとびっきり子供っぽい。これがあの桐子か、と思うくらいにw
あとがきで作者氏も、甘え我儘言える相手、なんて言ってるけどまったくそのとおりだわ。甘えてる甘えてる。接し方がまたぶっきらぼうで攻撃的だから気づきにくいけど、桐子からすれば立場を越えてこうして受け止めてくれる相手というのは、やっぱり初めてだからよくわからんのだろうなあ、接し方とか相手への感情とか。
志郎は志郎で、桐子の弱い部分とか目を見張るような強い部分を見つけるたびに、彼女のことが気にかかってきているようにも見える。まだ異性とかそういう風ではなく、放っておけない女の子、といった感じだけど。
でも、聖や弓生、宇和島たちでは決して立てない場所に、彼女が求めているものがある、と彼は知ってしまったわけで。
ああ、これがフラグ立ったってやつなのかしら(笑

今回の座布団は弓生さん。自爆した桐子はまあ自業自得として、乙女小説を朗読させられて悶えている桐子を見て、密かに楽しんでる弓生はけっこうひどいSだと思う。Mじゃなかったのか、こいつww