東方儚月抄 ~Silent Sinner in Blue. 上巻 (IDコミックス REXコミックス)

【東方儚月抄  Silent Sinner in Blue. 上巻】 原作:ZUN 漫画:秋★枝 (IDコミックス REXコミックス)

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第二次月面戦争勃発!!
もっと、ほのぼのした内容を想像していたんだけど、これはみんな黒い、黒いよ!!
時系列的には永夜抄の後からってことになるのかしら? 作中時間が経過しているうちに、花映塚、風神録、地霊殿の事件も起こってるみたいだけど。
月面侵攻の発端となってる紫からしても、地上の月人であるえーりんにしても、今回静観を決め込んでいる幽々子にしても、裏で思いっきり何かを画策しまくってる。それも、お互いの思惑、出方を読み合いながら。三者三様とも、最終的に何を成就させることを目的にしているのすらも分かんないから、恐ろしいったらありゃしない。妖夢じゃないけど、雨月すら想像できない乏しい発想の持ち主なので、何も分からないまま見続けるしかないんだけど。
レミリアはその辺、わかった上で突貫しているのかいないのか。この幼女も短絡的なおバカに見えて、その内側や歳を経た吸血鬼らしく深遠な部分があるからなあ。すべて承知で乗っている、という態度にも見えなくもない。

しかし、堂々ロケットで月に行こうとするのが凄いなあ。しかも、ロケットが月に到達する理論がまたこれ、素晴らしい。純然たる物理科学を端から鼻で笑ったような、言霊や魔術論法における理論。
サターンロケットを基にして、月に到達するために様々な論点から問題解決を図った結果、ロケットは三段で構成されている→月に到達するためのロケットは三段で構成されていなければならない→三段で構成される筒を見つければ、月に到達できるロケットになる。
ふざけた三段論法みたいに見えるけど、古い呪術、魔術の、結果を顕現させるプロセスってだいたいこんなんなんですよね。
ところで、アポロ計画は旧い月ロケット計画は、既に幻想入りし出しているのか。時代の流れを感じるとともに、あの衛星も遠いものになったなあ、と感慨。でも、中国の嫦娥計画が触れられているあたり、これ面白いわぁ。現実と幻想の相克が、非常に見事なバランスで描かれていて、実に不思議な感覚を覚える。会話の間やコマ間などの独特のテンポもまた、その雰囲気を助長しているんだろうけど。

これは、想像していたよりもかなり面白い作品になりそう。もっとファンブック的な内容のないものを予想していたんで、これは嬉しい悲鳴。