C3‐シーキューブ〈5〉 (電撃文庫)

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まずはヒモパン。常にヒモパン。なんぞもし。

すみません、最近疲れているもので。
今回は、前回出番のなかったいいんちょのターン。でも、フィアもメインヒロイン面目躍如なんですよね。
この作品に登場するヒロインたちは、みんな多かれ少なかれ宿業を背負っています。フィアにしても、このはにしても、呪われた道具として何人も何十人も、場合によっては何百人もの人間の肉体を傷つけ、尊厳を破壊し、心を打ち砕き、絶望を刻みこみ、命を奪ってきたわけです。
その罪科は、たとえ使われる道具でしかなかったとはいえ、彼女たちを今なお苦しめ続けている。
ゆえに、だからこそ。
彼女たちの生きざまは、読んでいてハッとさせられるほど健気で、真摯で、誠実であり、気高くすらあるのです。常に正しくあろうとしている、というのとは少し違うのかな。今回なんかは特に大いに<間違える>話であったわけだし。
彼女たちの行動は、選択は、彼女たちが大切に思う人たちに恥ずかしくない、胸を張って結果を示せる、そんな意識を常に心がけている、そんな風に見えている。後ろ暗い過去に常に苛まれている彼女たちだからこそ、背筋をピンと張ってかざしてみせるその姿勢は、眩く見えるのだろう。
対比となる、敵方の連中が以前の家族会にしても、今回の研究室国にしても、自分の欲望、思想に忠実で自分本位極まる連中であることも、フィアたちの気高さが際立つ要素なのかもしれない。
春亮は、主人公なのに、いざ戦いとなると何の役にも立たない。作中でも自分で愚痴ってるけど、観戦に回らざるを得ない自分には忸怩たるものがあるだろう。でも、こいつを役立たずだと思ったことはないな。たとえ戦闘力がなかろうが、彼女たちの精神的支柱はまぎれもなく彼なんだから。彼がいたからこそ、彼女らは自身の罪科や弱さに押し潰されず、未来や希望といったものを見出す事が出来、自分の宿業に立ち向かう勇気と意志を得ることが出来たんだから。
彼が彼女たちに示したものは、呪いから解放されるという希望、そしてそれ以上に彼女たちがこれから胸を張って生きていくための、道筋だったように思う。大変だぜ、他人にそれだけの勇気や意志力を与え続けるための姿を示し続けるのは。でも、彼は見事にそれを成し遂げている。
錐霞が、兄の呪縛に真っ向から立ち向かう勇気を得たのも、春亮やフィアの示したそうした生き様だったんだから。

意外だったのが、崩壊後の家族会、ですか。二階堂クルリの今回の目的が最後までわからなかったのですが、それが明らかになったとき、ガツンときたなあ。最後まで間違え続けてしまった家族会ですけど、こうしてクルリの想い、アリスの告解を見てしまうと、そのすべてを否定し尽くすことはできないよなあ。あの破滅の後にも、残ったものはあったのだ、と。
アリスのこの後の人生は贖罪の酷道なのでしょうが、クルリのおかげでその道を最後まで歩き続けることができるでしょう、きっと。

恋愛パートでは、いいんちょが一歩リード、になるんかな。フィアはまだ恋心が芽生えはじめたばかりだろうし、このはは……可哀想だがやり方がへたくそ過ぎる(苦笑