SHI-NO-シノ-  過去からの招待状 (富士見ミステリー文庫)

【SHI-NO ―シノ― 過去からの招待状】 上月雨音/東条さかな 富士見ミステリー文庫

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………嘘でしょう?(絶句


あらすじからして、志乃と「僕」が再会した時の事件がメインとなる過去編だと思っていたから、完全に油断していた。
この展開は、頭の隅にも思い浮かべていなかったから、なんというかその。「……冗談でしょう、これ」という顛末を信じられない言葉で埋め尽くされてしまっている。
いやもう、本当に。嘘でしょう?

過去に起こっていた猟奇殺人事件。犯人が自殺して終わったはずの事件が、今再び繰り返される中、「僕」が志乃ちゃんと再会した頃の回想や、まだ彼らに出会う前の鴻池キララ先輩が警察官に憧れ、目指すまでの回想なんかが描かれつつ、過去に終わったはずの猟奇事件と現在の猟奇事件の繋がり。正体不明のまま死んでしまった殺人犯の正体。うっすらと浮かび上がってきた巨大な影の存在に、これはなかなか大事になってきたなあ、と思ってたら。
本当に、どえらいことに。どえらいことに。
あれは。あの状況では。さすがにあかんやろ。

自分の常識を勝手に押し付け、志乃という存在を誤解していた過去の僕から、今の僕への成長。それと同時に、無機質だった志乃の確かな変化。
本来ならば好ましいはずの志乃の人間性の獲得が、この作品においてはたびたび逆に暗い予兆として囁かれていたのだけれど、僕と志乃の変化が結果として幸であったのか不幸であったのかが判明するのは、きっと彼と彼女の原点であるこの事件が決着するその時になるんだろうけど。
うわぁ。
実のところ、物語の帰着点に関してはけっこう楽観してたんですよね。なんだかんだ言っても、最終的にはハッピーエンドに終わるんだろうって。
ところが、その楽観を持ちえる象徴とも言うべき存在が……うわぁ、いや、もう何度も繰り返しになるけど「嘘だろう?」と首を振ってしまう。

次巻が、この作品の最終巻になるそうだけど。
思っていたよりも、遥かに凄絶なものになるのかもしれない。

それにしてもこればっかりは……絶句するほかないよ。