ダンタリアンの書架2 (角川スニーカー文庫)

【ダンタリアンの書架 2】 三雲岳斗/Gユウスケ スニーカー文庫

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少女の胸に封印されるは、悪魔の叡智の図書館
屋敷に招かれたヒューイとダリアン。亡き父の残した蔵書の鑑定を求めたのは、エステラという名の美女。隠蔽された血塗られた事件……全ては一冊の本のせい、それとも――。悪魔の本をめぐるダリアンの冒険、第2弾!


ラノベ界の翠星石、ダリアンが往く!
とまあ、戯けた繰り事は置いておいて。前回に引き続き、幻書と呼ばれる悪魔の本にまつわるいくつかの話を綴った短編集の形式で。基本的にはダリアンとヒューイが幻書の回収に赴き、事件に巻き込まれるという形になるんですが、何編かは別の登場人物が主人公を務める形に。
やはり、というべきなんでしょうか。ヒューイとダリアン、前巻の最終話に登場した焚書官のコンビの他に、もう一組存在していたんですな。これは予想して然るべきだったんでしょうけど、自分でも意外なほど頭に浮かばなかった。たぶん、ヒューイたちの裏返しみたいな焚書官のコンビが登場したことで、もう一組いる可能性を無意識に排除してしまっていたようです。前巻ではヒューイたち、幻書の回収だけでなく貸し出すこともやってたから、有り得なくもないと考えたんでしょうなあ。何気にヒューイって心底が知れない不気味なところもあったし。
ただ、この巻ではそんなヒューイの過去らしきものも最後の話で明らかになったことで、この一見人畜無害に見える優男も、相当の葛藤と修羅場を潜ってきた輩だったというのがわかって、なんとなくこれまでの違和感にも納得いった感じ。戦争帰りとは聞いていたけど、色々と経験した結果でああした飄々とした性格になったというのなら、ねえ。
他にも、短編の中の折々でその話の本筋とは関係ない部分で、さらっと雑談や独白でこの【ダンタリアンの書架】という物語の根幹にかかわる話がこぼれてたりするので、けっこう気が抜けなかったりもする。
書架の中のもう一人のダリアン。そして、鍵守についてなどなど。

短編の中で一番のお気に入りは、多分これは世間様でも一番人気なんだろうけど【等価の書】の話。まんま、わらしべ長者ベースの話なんだけど、当然のように命を奪われる危険を伴うヤバい幻書を、ヒューイの幼馴染のカミラが手に入れて、<なにか>を手に入れるためにそれを使い始めしまうのを、ヒューイとダリアンが慌てて追いかけるはめに。
このカミラは、前も一回しか出てきてないヒロインなんだけど……いいなあ、この娘は。この娘のあっけらかんとした明るく押しつけがましさのかけらもない善性は、万人分け隔てなく好きになってしまうんじゃないだろうか。それこそ、この物語の登場人物然り。読者然り。
出番の少なさがもったいないくらいに。
まあ、その分、ダリアンが孤軍奮闘。ワンマンアーミー的な勢いで、ツンツンと尖がった可愛らしさを弾幕よろしくばら撒いているので、キャラ萌え分は十分足りているのですが。
でも、このヒューイとダリアンのコンビにカミラが加わったら、さらに効果倍増になると思うんだけどなあ(笑

そろそろ、物語の下ごしらえも整ってきた感もあるので、次ぐらいからダリアンたちが主体となって動く話が出てくるかも。期待。