戦闘城塞マスラヲ  Vol.5 川村ヒデオの帰還 (角川スニーカー文庫)

【戦闘城塞マスラヲ Vol.5 川村ヒデオの帰還】 林トモアキ/上田夢人 スニーカー文庫

Amazon


すげえすげえ、やっぱこの人でたらめにスゲエ!! もう最初っから90度角上方にテンション垂直軌道であがりっぱなし。これぞ、テンションの青天井。
滅☆茶☆苦☆茶 おもしろかったーーーーZE!!

結局、川村ヒデオという男は、この人外魔境のバケモノたちが跳梁跋扈する中で、只一人最後まで何の特殊能力も発現させず、無力な一般人のままを貫いたんですよね。凄かった。力のない男の叡智と決意と覚悟が、これほど熱く激しく凄絶でカッコイイものだとは。
ヒデオって、この聖魔杯を口先だけで勝ち抜いてきた、なんて言われているけれど、彼本人は決して饒舌で弁の立つ男じゃないんですよね。そもそも他人とコミュニケーションを取るのが苦手な引きこもりだし、根っからの正直者で詐術を弄するなんてとても出来る性格じゃない。
彼が本当の意味でハッタリかましたのって、クライマックスのあの場面が初めてじゃないのかな。
彼はいつだって、誰かを騙そうなんて思っていなかった。ハッタリをかましている自覚もなかった。ただ、いつも本気だっただけなんですよ。彼の言葉は、偽りのものではなくいつもその魂から絞り出された渾身の言葉であり、決意であり、想いの発露だったわけです。彼はいつだって、自分が何もできないニート君でしかない、というただの自虐とは違う明確で客観的な認識を見失わなかった。自分が化け物揃いの周りの連中とは住む世界が違う、働くことも侭ならない非社会人であることを見失わなかった。
ただ、そんな情けない自分を、この聖魔杯に参加した後は常に克服したい、変わりたい、周りの期待してくれる人たちに恥ずかしくない、まともな人間になりたいと切望し、実際にそうなろうと足掻いていたわけです。
その必死さに、これまでの対戦者たちは怯み、ヒデオという男の迫力に呑まれ、敗北していったのでした。そして、聖魔杯の有力者や、運営幹部たちも、そんな彼の強い輝きに目を奪われ、彼の戦闘力云々ではなく、存在そのものに大きく影響を受けていったわけです。
4巻で彼は一度敗北し、大きく挫折します。でも、自惚れていた、と自責するヒデオは自分を誤解していたとしか思えない。こいつは、いつだって全力で頑張っていただけで、身の程を越えた夜郎自大な暴走なんてしていませんよ。彼がどれだけ凄い男かを示してくれたのは、再会なったかつての対戦者たち。
いやいや、どう考えても一発キャラだと思ってた、色モノ含んだあの連中が、味方となって再び現れるとは、思わなかった、思わなかったよ。しかも、めちゃくちゃ頼もしいし! 燃えた! 燃えた!

ハニ丸王子なんて、中の人の正体、かなりとんでもないヤツだったし。あれはビビった。

もう登場人物が片っぱしから熱いんだ。火傷しそうに熱いんだ。前シリーズの主人公たる鈴蘭たちも変わらず突っ走ってくれたし、敵側のアルハザンはアルハザンで、一本筋の通った敵役で、役者不足なんじゃないかという懸念を見事に吹き飛ばしてくれたし。
なにより、うぃる子ですよ。うぃる子があんなにいいヒロインになるとはねえ。どちらかと言うと、賑やかし役みたいな役どころだったのが、いつの間にか真っ当にヒロインとしてたち振る舞い、ヒデオの掛け替えのない相棒として、魂の根っこ同士で繋がったような絆と信頼感。離れ離れになって、お互いを求めるあの熱量。【最愛の使徒】なんて、ねえ(w
そして、再会なっての盛り上がり。神様とか魔法とかってのは、古い方が尊ばれるわけですけど、このシリーズだと一味違うんですよね。古きものも偉大だけど、新しいものだって最高なんだぜ! という新旧セッション。
最新にして最高の神<電神>として、正式名称「Will.CO21」が意味する真の名を見せたときの興奮といったら、鼻血でそうだったサ(笑

クライマックスの盛り上がりは、最初にもいったけど青天井。大逆転に次ぐ大逆転。思いもよらない怒涛の展開のダイダルウェーブ。ハチャメチャを通り越した、とんでもない規模の痛快愉快。もう、めちゃくちゃ興奮しましたよ。年に何度も経験できない燃えっぷり。それを年度冒頭に体験させられるとは、ある意味たまったもんじゃない(苦笑
やっぱり、作者の最高傑作シリーズですよ。おりがみからマスラヲに通じるこのシリーズは。正直、ミスマルカより断然こっちの方が好きだわ。
なんか面白半分に提出した、続編の企画が通ってしまったらしく、さらにこの世界観が続くらしいですよ。ひゃっほ!! ああ、終わっちゃった、と虚脱感に苛まれながらあとがき読んだ時は小躍りしましたがな。
しかも、今度の主役はヒデオと鈴蘭妹!? このシリーズでは全然出番なくて、少々がっかりしていたあの睡蓮!?

大変だ!(爆笑