獅子の玉座「レギウス」〈3〉妖精楽園 (電撃文庫)

【獅子の玉座<レギウス>  3.妖精楽園】 マサト真希/双羽純 電撃文庫

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ちょっと吃驚するくらい、正統派の亡国の王女と流浪の騎士の物語になってきた。これは素晴らしいわ。
聖王国という伝統ある王国の王女アリアンと、元海賊の傭兵に過ぎないレオン。当初は粗暴なレオンと高飛車で気位の高いアリアン、双方ともに反発してばかりだったのに、ここにきて一気にお互い惹かれあってきた感があるなあ。自分はもう少し、二人とも自分の気持ちを見ないふりすると思っていたけど。両方とも意地っ張りだし。
ただ、皇国に攻め落とされた聖王国を取り戻すという難行以上に、神々の呪いというどう抗っていいか分からない絶望的な未来が、逆に二人を正直にしたのかもしれない。
もっとも、向き直ったことで、お互いの身分の違い。さらにはアリアンは支援の兵を出してくれる同盟国の皇帝のもとに嫁がなければならないという将来が待っているわけで。彼らがお互いの関係を主従のものに過ぎない、と思いこもうとしていたその理由の一端は、結ばれぬ恋だと理解していたから、というのもあるんだろう。
それでも、たとえ自分以外の男のモノになろうとも、彼女を守るために傍に居続ける、そのためには自分の誇り、矜持を捻じ曲げても、と決意するレオンは、格好良かったですよーー!!
出世することを忌避し、身分の高さなど侮蔑の対象でしかなく、一介の傭兵であることを誇りとしてきた男が、敢えて膝を折る瞬間。
アリアンにとって、それはどんなに嬉しく、苦しいことだったんだろう。
そんな経験を経ても、まだ憎まれ口をたたき合ってる二人だけど、もう目をそむけ合う関係ではないのだろうね。たとえ、結ばれぬ仲だとしても、誰にも立ち切れぬ絆が二人の間にはつながっているはず。
まあ、レオンには神々ですら見通せぬ謎が秘められているようだから、あながち結ばれぬ仲、とも言えないけれど。
賢狼たるラウルが、王の選定者として彼を選んだわけだし。

一方で、もう一人の選定者たる立場を与えられてる少女が、ユーサーを選んでいるわけで。
それぞれのパーティーに神の民の末裔が加わっていることからも、両者の陣営は最終的に真っ向から対立することになるんだろうか。

メルキオは、今回大活躍だったなあ。戦力としてでなく、レオンにズケズケと物言いしてくれる親友的な仲間として、大きく存在感を示してくれたし。登場したときは暴走しがちな迷惑なガキでしかなかったのに。今回、レオンがあんな決断を下せたのは、メルキオの指摘と支えがあったからなんだろうし。レオンとアリアンの許されぬ関係をむしろ積極的に認めてくれる掛け替えのない人物だし。仮にも聖王国軍の主将という立場の人間が、レオンみたいな根なし草を友情をもって支えてくれる、というのは有難い関係だと思いますよ。
ここに今回、ハーヴェンとフェイが加わることで、パーティーも充実してきたし。これで、単純に神々の秘された歴史と思惑を解き明かす旅が続くなら良かったんだけど、そうもいかないんですよね。亡国の王女として、国を取り戻す戦いに戻らなければならないわけで。こうして少人数で旅に出ることはなかなか叶わなくなるんじゃないかなあ。
今後、どうなるんだろう。

誓おう、俺の聖王女


いやいや、今回はレオンに痺れたさ。