光炎のウィザード  選択は唯一無二 (角川ビーンズ文庫)

【光炎のウィザード 選択は唯一無二】 喜多めぐみ/宮城とおこ ビーンズ文庫

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うわぁ……。いやいやこれは。まさか、ヤムセ先生がリティーヤに対してこんな黒い反応を見せるとは。
驚いた。なんだかんだと、虹ドロさんとしての記憶を取り戻してからも、リティーヤに対してはあくまで教え子という認識で留まっていると思っていたから。
いや、それともあれは恋愛感情とはまた別の形の、あくまで教え子に対する執着なんだろうか。ユローナに捨てられた過去から、ヤムセという男には師弟関係というものに対する尋常でない思い入れがあることは、学園長やロードマスターたちが、リティーヤをヤムセにつけた理由を見ても、よくわかるところだ。
うーん、どちらか一方ではなく、両方がドロドロに混じっているんだろうけど。幼いリティーヤを自分の力だけでは助けられなかったという劣等感キツネに感じているというのも、あの瞬間の殺意の理由ではあるんだろうけど。それでも、あそこで殺意を抱いてしまう、という点にヤムセという男の抱えている業や闇の深さが垣間見えてしまって……逆にえらい魅力を感じてしまった私。なんだかんだと、これまで無茶苦茶しでかすトラブルメーカーと、それに頭を抱えながら後始末をする師という、大変そうではあるけれど上手く回っている師弟関係に見えていたので、ヤムセが垣間見えた凄絶な執着心は、なにやら一気に二人の関係を背徳的に見せてきた気がします。
その一方で、ヤムセはあくまで師弟であろうとするんですけどね。彼が最後に学園長たちに示してみせた後始末の方法は、リティーヤに対して師としての責任を取ろうとした結果だろうし。
それを知ったリティーヤが何をしでかすかわからないところが怖いわけですけど。
でも、リティーヤは今となっては学園に拘る理由もあんまりなくなってきている気もするんですけどねえ。
既に家族は見つかっているわけですし、生きる為の拠り所。帰るべきホームというには、親友は去り、大師父たるロードマスターは今回あのような結果となり、またヤムセも同様の道をたどろうとしているわけで。
夏の魔術に関する真相を知るための研究機関、として学園を利用するにしても、今の立場だとかなり苦しいですよ。学園内の各機関に目ぇ付けられてるわけですし。
そもそも、学園ってとてもじゃないけど居心地のいいところとは思えないんですけどねえ、ロードマスター。
主体である学園よりも自分の部署の益を優先するようなセクション主義が堂々とまかり通り、内ゲバ上等、研究成果を秘匿、横どりするためには死人が出ようと構わないという殺伐とした環境。
あのユローナだって、結局はそんな学園の体質の犠牲者と言えなくもないわけだったんだし。
バドさんですら、今回とんでもなく怖い顔見せてくれましたしねえ。
考えてみりゃ、リティーヤの明るさで忘れがちでしたけど、ほんとに最初っから学園という組織は外に対しても内に対してもおっかない組織でしたよ。
思い切って、外に出るのもいいと思うんだけど。だいたい、学園じゃあ魔術師同士の結婚は禁止されてるんですもんねえ、ゼストガさんw

うん、ゼストガさんはちょっとかわいそうなくらい痛い目見ちゃったわなあ、今回。立場に対して、ちょっと姿勢が甘かったというか。この人、有能そうに見えて、けっこう隙が多いしやることなすこと上手く出来ないこと多いよなあ。もしかして、結構無能なのか? それとも相手が悪いのか。
リティーヤと関わったのが運の尽きだったのか。リティーヤって、本気で天然のトラブルメーカーだものね。全然悪気ないけど。