ヒメゴトシステム 1  先輩、セップクです! (角川スニーカー文庫)

【ヒメゴトシステム 1.先輩、セップクです!】 神崎リン/千葉サドル スニーカー文庫

Amazon



神崎リンと言えば幼女。神崎リンと言えば、ガチロリコン。そんな風に思っていた時期が私にもありました……。
いやいや、昨今幼女のヒロインや、ロリコン呼ばわりされる主人公というのは、このライトノベル界隈では決して珍しい存在ではないのですが(…それはそれでどうよ?)、さらっと自分の記憶を振り返ってみた限り、本気のガチでロリコンだった主人公というのは、この作者の前シリーズ【イチゴ色禁区】の主人公ぐらいだったように思います。
お陰さまで、神崎リンと言えば幼女! 幼女! な風情だったのでありますが、このシリーズを読み、思い出したのでありました。
そう、【イチゴ色禁区】でメインヒロインだった小学生亜美のインパクトに隠れたものの、もう一人考えてみるとごっついキャラクターなヒロインがいたわけですよ。
<年上>の許嫁こまさんという存在が。

<年上>

そう、決して幼女だけの人ではなかったのです。凶悪な年上キャラを縦横無尽に暴れさせることのできる年上遣いだったのですよ!

……いい具合に脳が煮立って来た気がする。いったい自分は何を描いているんだと我に返るとろくなことにならないので、そのまま続行。

というわけで、神崎リンさんの新シリーズ【ヒメゴトシステム】
ぶっちゃけ、ぐあああっと、面白かったーー!
正直、やや柱がグラグラと不安定な感覚のあった前シリーズと比べて、かーなーり面白くなってると思います。
ぐーたらで自己中怠け者の先輩有馬律子と、自称城主様でへんてこな言動で突っ走る下級生の琴音。この二人に目を付けられ、振り回される主人公が御苦労さまのなかなか珠玉の学園ドタバタコメディ。
かと言って、主人公流されてるのかというと、結構頑強に抵抗してるんですよね。ある意味もう飼いならされてしまった律子先輩に対してはともかくとして、新たに現れ引っ張りまわそうとする琴音に対しては、ほだされることもなくかなり真剣に突っぱねてるわけです。そんじょそこらのぬるいラブコメヒロイン程度では門前でお断りの、きっぱりとした拒絶。
それをいつの間にか引っ張り回しているあたり、この琴音の素っ頓狂なバイタリティは大したもの。
まあ、律子というとっかかりがなかったら、箸にも棒にもかからなかったんだろうけど。

この律子先輩がいいんだよなあ。これってあれかい? だるデレってやつ?
人前では相応にキチンとしているのに、主人公と二人きりになると途端に自堕落、身嗜みも気にせずだらーっと弛緩しているんですけど、これって主人公に対してめちゃくちゃ気を許してるってことなんですよね。
まあ、異性として認識されてない、と言われるとそうなのか、とうなずいてしまうところなんですけど。
うーん、実際のところはどうなんだろう。途中、琴音と主人公を取り合って大ゲンカを繰り広げた際の、修羅場演出。本人はあくまで演出だ、と言ってたわけですけど……全部が演出とも思えないんですよね。琴音との諍いも、単に性格の不一致を要因とするには、二人が激突した際の力点がおかしいんですよね。
主人公にネタばらししたときの微妙な間も気になるし。放送部に、他人を寄せ付けなかった過去といい。けっこうマジなんじゃないかと……。

なんにせよ、この律子さん。存在感が半端ないんですよね。特に、ラストのマラソン大会での自転車の後ろに乗っての乱行(笑
どんだけえらいんだ、この女王様ww

わりとはっちゃけた学園の生徒たちといい、馬鹿騒ぎ、お祭り騒ぎの規模の大きさと言い、学園コメディとしてもいい感じに弾けてて、予想以上に楽しかった。
メインヒロイン二人ともかなり気にいったし、主人公もわりと自我がはっきりしているあたり、好感度高し。次回以降が楽しみなシリーズが、また出来たと思ってよかんべえ。