ウィザーズ・ブレイン〈7〉天の回廊〈中〉 (電撃文庫)

【ウィザーズ・ブレイン 7.天の回廊(中)】 三枝零一/純珪一 電撃文庫

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すみません、私も大気制御衛星ぶっ壊しちゃえー、と思ってました、ごめんなさい。
そっかー、あれ壊しても何の解決にもならんのかー。まず、衛星に辿りつけないという点ばかりに気を取られてて、壊したら太陽光を阻害している雲も消えるのかと思いこんでた。
とはいえ、衛星にまでたどり着いたということは、此処に現在の破滅に向かってカウントダウンを続けている世界を救うための鍵が仕込まれているのは確かなはず。それがサクラたちの言うような、雲を除去するシステムかどうかはわからないけれど。
その鍵がアリスであり、過去の天樹、エリザベート、ウィッテンの三博士の選択であり、サクラの出自でもあるんだろうけど。

その三博士の過去話は、意外なほどニヤニヤさせられてしまった。天樹博士の天才らしい変人さと、対象的に天才でありながらあまりに普通すぎる少年だったアルフレッド・ウィッテン。そして、彼らの元に現れた魔法士の始祖、アリスという少女。
特にアルフレッドとアリスの微笑ましい仲のよさは、第一印象の研究者とその被検体とは裏腹の、純情で素朴なくらいの年頃の男の子と女の子の触れ合いのそれそのままで。なまじ、彼らが幸せになれなかったことを知っているだけに、ニヤニヤさせられながらも痛みを伴うエピソードだったと言えるのかもしれない。
それにしても、今更っちゃ今更なんだけど、アリスの脳内に存在した先天的なIブレインの解明に伴って、博士たちが導いた結論。すなわち、アリスのIブレインが特別なのではなく(いや特別なんだけど)、ある一定の計算速度を超える能力を持ったコンピューターなら、この作品において魔法に位置づけられる特殊法則が発現する、という話は正直目から鱗だった。いや、ちゃんと理解してなかっただけと言われればそれまでなんだけど、この端的な説明のおかげで、ようやくこの作品の魔法士たちの力がどういうロジックに統制されているものかわかりましたよ。いままで分かってなかった方がおかしいのかもしれないけど(苦笑

これまでメインとなる登場人物が多かったせいもあって、メイン同士で面識がなかったりするキャラのラインなんかもあったんだけど、今回の事件でほぼ全員が面識を得たのかな。いや、エドやファンメイと衛星組の何人かはまだなのか。クレアもまだな人多いみたいだし。入り組んでるなあ。
クレアと言えば、この女は一人、ぶっちぎりに乙女してるなあ(笑
ヘイズにこいつ呼ばわりされて、傍目には怒ってるけど実際は明らかにときめいてたり、照れたり、恥ずかしがったりと、もう完全に恋する乙女状態。どうも彼女だけ気の合う相手がいなさそうだったのが気がかりだったのだけれど、今回月夜と出逢って随分相性良さそうな感じだったし、クレアの方はもう完全に心配ないかなあ。
むしろ、セラの方が今、ちょっと危ういかも。ファンメイが一生懸命構ってるけど、微妙に距離置いているような描写が見受けられるし。そのファンメイがまたえらいことになってるし。彼女のブッチギリな不幸そうな雰囲気はいつになったら拭い去れるんだろう、ほんとに。他の子たちは最悪を脱して、前を向き、未来を掴むための戦いに挑み始めているわけだけど、ファンメイだけはなんかヤバそうなんですよね。本人、明るいし楽観的だしタフだしメゲないし、内面的には無敵に近い子なんですけど、なんでこの子だけこんなに……。
エドさん、なんとかしてください。

今回、緊急回避的に祐一を中心に、新たな組織をでっち上げたわけですけど……シティや賢人会議が利益、権利取得を目的とした集団であるのと違って、祐一たちのそれは、まだ実態も中身も目的もはっきりとなく、そもそも今後も組織として活動していくのかも定かではない集まりだけど、その組織の名前からして、マクロ的な立場にたった唯一のグループになりえる可能性のある集団なんですよね。もしかしたら、最終的にみんな此処に集っていく形になるのだろうか。
偶然から現れた未来への萌芽、となり得ればいいんだけど……。

ああ、それにしてもこの引きは凶悪だよ、もう。