アクセル・ワールド〈1〉黒雪姫の帰還 (電撃文庫)

【アクセル・ワールド 1.黒雪姫の帰還】 川原礫/HIMA 電撃文庫

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サブタイトルがこれ、意味深だなあ。主人公はあくまでハルユキであり、この一巻は紛れもなくハルユキのコンプレックスを克服する物語だったわけですけど、この作品の基盤である加速する世界、誰も知らない先の先を渇望する動機を抱えているのは、ヒロインである黒雪姫なんですよね。現段階では、ハルユキは姫に傅く騎士であり、彼女の願いをかなえるために剣を振る存在に留まっている。姫の求道に対して理解と共感は示しても、同じ目的を追求する同志ではないわけだ――今のところはね。あくまで、従者としての立場に身を置いている。その意味では、この物語の主人公はハルユキであっても、作品の主役は黒雪姫の方、と言ってもいいのかもしれない。自らの求める道のために、友たちを裏切りながら目的を果たせず、雌伏して時の至るのを待ち続けていた孤高の黒き雪の姫。
彼女が求めているのは騎士でありながら、いずれその時がくれば剣を交えてくれる、もしくは自分の餓えを託すに足る同じ高みを目指す同志であるはずで、同時に自分が抱いた恋心に応えてくれる同世代の男の子のはずなんですよね、彼女の言動を見てると。ところが、今のところハルユキは同志ではなくあくまで従者として弁えてしまっており、また女の子としての姫に対しても憧憬や敬慕の念を以て接しているので、本当の意味での姫の気持ちは相手と噛み合っていないわけだ。
この擦れ違いは、後々大きな破綻となって二人の関係に立ちはだかるんだろうけど、この物語の目指す目的の特性上、もしかしたら最大の山場として準備がなされているのかもしれない。
それでも、この段階では姫は希望を手に入れ、野望に再び火をともし、おのがレギオンの復活を高らかに世に宣言したわけだ。
この宣戦布告の場面は一番燃えた。この作品が個の武勇だけで雌雄を決するタイプの話じゃなく、それぞれの王が形成する軍団同士がぶつかり合う「戦争」モノだってことだしね。今のところは少人数のレギオンだけど、のちのちは仲間も増えてくるだろうし。この強力な仲間が加わっていき、強大な軍団が形成されていく、って過程がまた面白いんですよ、この手の話は。

ところで、先輩の本名って結局なんなんだろうね。そんなに捻ってないだろうし、本人もあだなとあんまり変わらないと言ってる事から、雪姫なんかな?

少々残念だったのは、幼馴染のタクムとの関係性の描写だろうか。彼とのきずなの深さを示すようなエピソードがもう少しあったらなあ、と思った。ちょっとそのへんが物足りなかったせいで、彼の裏切りに対するショックと、さらに関係修復に対する感動と説得力がやや乏しい感じになってしまった気がする。
幼馴染の絆の深さに由来する離れ難さと、各々の性格の齟齬と圧迫からくる破綻、でもその破綻をも乗り越えられる友情の強さ。この流れやスタイルはとても素晴らしかったと思うんだけど、研磨がもう少し欲しかったかなあ。
チユリの微妙な感情とかは、小学生から中学生になったばかりの年頃のらしい考え方が反映されてて、私は好きでしたけどね、このあたり。
まだまだ恋愛感情が芽生えていない段階でありながら、人間関係だけは刻々と変わって行ってしまうこの時代。置いて行かれないようについていくのが精一杯で、合わせようとする現状と感情がかみ合わない苦しさってのは……辛いよね。男連中はそんな彼女の繊細な心の動きに気を配れるような余裕はなかっただろうし、それぞれ。
それでも、今回で壊れていたバランスが修復されたことで落ち着くことが出来ただろうし、彼女もこれからはじっくりと自分の中の女の子としての感情を育てていけるんじゃないだろうか。
物語的には、ぜひ彼女もブレイン・バーストに参加させてほしい所なんですけどねえ。信頼できる仲間は多ければ多いほどいいだろうし。


さて、問題の解説の川上さんですよ。
もうね、この人は色々な意味で、というかあらゆる意味で手遅れだ(爆笑
この人は本当に頭がおかしい。こんなに頭がおかしい人が人類であっていいのだろうか。ゆで卵なんじゃないのか、脳が。
どれだけの人に言われてるか想像もつかないが、敢えて私も言っておこう。というか、言わないと気が済まない。
カワカミ、自重しろw