えむえむっ! 7 (7) (MF文庫 J ま 1-10)

【えむえむっ! 7】 松野秋鳴/QP:flapper MF文庫J

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最近多いなあ、学園世紀末(笑
なぜにそこまで荒廃するか、学園。思春期のリビドーは社会秩序を崩壊させるほどの核爆弾並みの破壊力を持って、若者たちの青春の中に炸裂しているというのだろうか。
心底どうでもいいけどサ。
バレンタインデーを巡って、バレンタインデーの完全破壊を依頼された美緒率いるアンチバレンタインデー組織<カカオクラッシャー>と、バレンタインデーに込める少女たちの想いを守るために立ち上がった嵐子率いるバレンタイン防衛隊<乙女の気概>との全面抗争に、機能を停止し荒廃の一途を辿る学園の惨状に、ついにM男の星タローが立ち上がる!
……おおむねこんな話だったような気がするが、違うかったような気もする。とりあえず、あながち間違ってもいないだろう。にしても、嵐子、キャラ違うだろう、それ(苦笑
それだけ、今回は彼女、気合い入ってたってことなんでしょう。普段の彼女からすれば、尋常じゃないくらいに思い詰めていたわけだ。このバレンタインデーに賭けていたわけだ。それこそ、この作品の進行の閉塞を打破するほどの気概を以って。
正直、今回もこのままなあなあで終わってしまうのかと思っていたので、ラストで嵐子がこの騒乱の勢いのまま、ついに状況を決定的に動かしてきたのには、かなりびっくりした。誰がどう見ても、どうしても鈍感になりがちな当事者のタローですら、間違えようのないくらいのハッキリとした告白。そして、それを直撃で目撃してしまう美緒。
このシーンの前段階で、しっかりとその手の感覚にはまったく無知な美緒に対して、恋心とはいかなる感情であるかをレクチャーし、彼女の本人も気づいていなかった本心を揺り起こした直後だっただけに、これは効果抜群。
個人的には、この作品、主演目となってるドタバタ変態コメディよりも、初期によく見られた個々人の繊細な内面描写、人間関係の衝突による管城の揺れといった、細かい情動の描き方にこそ魅力を感じていたものだから、今回の展開は大歓迎。最近、ほんとにただのバカばっかりのコメディになっちゃってたからなあ。ラブコメじゃなかったし。
だから、この展開はキタキタキタと大喝采ですよ。次は美緒のターンなんだろうけど、大いに悩み苦しみ暴れて泣いて喚いて、その上で三人には真っ向からぶつかって欲しい。この作者なら、真剣シリアスな青春恋愛劇をそれこそ真っ向から魅力的に描いてくれると信じているので。
主人公のタロー。マゾヒスト体質であるということを除けば、実に気持ちのいい青年なんですよね。M体質であることを知られていない他の一般生徒の評判もいいのも無理からぬこと。今回のあの、バレンタインにチョコをあげたい男子生徒で、四位に上がっていたの。あれ、彼の正当な評価じゃないですか? 女の子にも優しくて、男への友情にも厚い。行動力があり、他人に対して献身的。顔もよし、文武両道。こいつ、何気にパーフェクト。
あのM体質だって、本人の趣味趣向じゃなくて、アレルギー体質と同じ生来の、彼の場合は先祖代々の遺伝体質だから、彼本人には何の責任もないんですよね。
タロー本人も自分の体質は治したいと思ってるわけだし、嵐子の男性アレルギーと合わせて、最終的には治って欲しいなあ。