幻想譚グリモアリスIII  誓えその名が朽ちるまで (富士見ファンタジア文庫)

【幻想譚グリモアリス 3.誓えその名が朽ちるまで】 海冬レイジ/松竜 富士見ファンタジア文庫

Amazon


さて、そろそろいい加減に誓護くんとアコニットさんには、【友達】という関係性と現実の関係の齟齬について、じっくりとお答いただきたい頃なのですがッ。
いやもうね、この二人が【友達だ!】【友達なんだから!】と力強く宣言するたびに、猛烈な違和感が襲いかかってきて、もはやいろんなものを通り越して居たたまれなくすらなってくるんですよ。
二人とも、前から友達居なかったから友達というのが具体的にどういうものかって分からないのは仕方がないんだけどさ。いい加減気がつこうよ。二人のそれは友達じゃないって。

以前はそれでも、彼らの関係というのは誓護、アコニット、いのりの三人による殆ど閉じてしまっていた人間関係だったからこそ、二人のそれが特別な友達、という些細な錯誤を含んだ関係性を保っていたとしてもまあ良かったわけだけれど。そこにギシギシを始まりに、今や周辺にはどんどんと人が増えてきている。そこには本当の意味で【友達】と言える人間関係も出来上がってきているわけだ。
そうなってくると、未だに誓護、アコニットの二人が自分たちの関係を【友達】と言い張るのは猛烈な違和感を伴ってくる。出来ればその違和感を読者だけではなく、当人たちにも認識してほしい時期でもあるんですよねえ。
ラブコメ的にも。
まあ、二人の間に割って入ってくるような相手が今のところ出現しておらず、現状は控え目に言っても激動の最中。じっくりと自分たちの関係を見直している余裕などなく、二人でゆっくりいちゃつく暇もないという状況だから、【友達】のまま固定されちゃってるのも仕方ないといえば仕方無いのかもしれないけれど。でも、アコニットが完全にデレデレ状態のまま誓護べったりでありながら【友達】と言われて言って、それで満足しているのは、むずむずするなあ。本人、もう誓護にメロメロのベタ惚れなのはあからさまなくらいなんだから、そろそろ【友達】呼ばわりされて悶々とし出してほしいのが、現状の願望であります。

と、暢気なことも言ってられないのが現状でありまして。
いのりは攫われ、アコニットは先走った挙句に冥府で捕縛の憂き目に。せっかくオドラを味方に引き入れたのに、戦力はチリヂリに。
と、ここから誓護の孤軍奮闘がはじまるのですが、どうやら冥府は思ってた以上に動乱の気配を帯びてきた感がある。アコニットが叛乱者指定されたことで、逆にそれ以外の有力者たちが徐々に自分たちの野心やらをあらわにし出してるみたいな。でも、不穏な情勢だからこそ、アコニットたちからしたら有利なわけだ。平穏で強固な秩序のもとにある社会体制の下で叛乱者として追われるのだったら、ほとんど望みがないものねえ。
しかも、意外と冥府にも味方になってくれる<勢力>がいるみたいだし。これ、結構大きい要素ですよ。個人として味方になってくれるのではなく、小さかろうとちゃんとした<勢力>が味方として存在するなら、アコニットは無力な逃亡者ではなく、歴とした一個の反乱勢力として冥府に対抗できるようになるわけですから。
誓護がどれだけ冥府の状況を分かっていたかは怪しいところですけど、一気に彼の大言壮語が現実味を帯びてきた感があります。今回の戦いで、勢力図はまた一変したわけですし。

しかし、あれ。将軍の過去回想に出てくる少女って、最初アコニットなのかと誤解してましたけど、結局元の主人の方だったのね。でもそれだと、将軍はだいぶ無茶な賭けをしたんだなあ。助言をくれた相手をよほど信用してないと、ああいう行動には出れないですよ。一歩間違えれば、恩人を殺すことになったわけですから。

キングはやっぱり、すげえ。この人が味方になったのは、ほんとにめちゃくちゃ大きい要素なんじゃないだろうか。もう、本来ならラスボスとして登場してもおかしくないんじゃないのかと思わんばかりのハチャメチャな強さ。頼もしいったらありゃしない。


と、次は再び冥府から現代に戻っての、謀略戦になりそうな予感。この物語の一番初めの大問題が浮き上がってきて、アコニットの正統性にも話が及んだ以上、ここは誓護の口八丁が試されることになりそう。期待。