メグとセロン〈4〉エアコ村連続殺人事件 (電撃文庫)

【メグとセロン 4.エアコ村連続殺人事件】 時雨沢恵一/黒星紅白 電撃文庫

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三巻での印象通り、やはりこの六人組には国家規模の陰謀に関わるよりも、日常の延長で起こる事件に片足を突っ込むぐらいが、良く似合っている。
牧歌的なのだ、このグループは。意外な事に、このグループの雰囲気を司っているのは、おっとりとした少女であるメグミカであるのかもしれない。
それぞれが個性の塊みたいな六人だけれど、このグループ、明確なリーダー的存在がいないのよね。敢えていうなら、クラブの部長であるジェニーがそうなんだろうけど、実はあんまりみんな彼女の言うこと聞いてないし(笑
今回に関してはクラブの合宿で、ジェニーが幹事役なので珍しくみんな彼女の立てたプランニングに大人しく従ってるけど。でも、やっぱり意外な事に、肝心な時にこのグループの大まかな方向性を決めるのは、メグミカだったりするのよね。何か事件が起こったとき、メグミカが大いに感情を高ぶらせて、やりたいこと、やらなければならないと思った事を素直の口にした瞬間から、セロンを筆頭にして皆がガガガッと動き出すわけだ。
そうしてみると、不思議とメグミカがこのグループの中心となっているのがよくわかる。彼らが妙に牧歌的なのは、この作者の特徴的な筆致のせいもあるんだろうけれど、やっぱりメグミカが醸し出す雰囲気が大きいんじゃないかなあ。
今回は特に、学園を離れて、長閑で自然豊かな田舎が舞台となるからか、のんびりとした空気がさらにいや増している。連続殺人事件なんて物騒な事件が起こっているわけだけど、読んでてホッと落ち着くのは不思議な話ですねえw
普段の学園を離れての旅行ということもあってか、わりとはしゃいでいる六人。こうして外に出てみると、こいつら育ちがいいんだなあ、と改めて認識させられる。みんな、いいところのお坊ちゃんお嬢さんなんだわなあ。別荘地での過ごし方がみんな、洗練されているというかそつがないというか。スマートなんだよねえ。それが嫌味じゃないのは大したものだと思うけれど。

ジェニーの小さい頃の話は結構、衝撃だった(笑
ほんとに昔っからこういうはた迷惑で小うるさい小娘なのかと思っていたので、あの幼い可憐な幼女の写真は、インパクト大きかったよ。いったい、なにがあってそんな娘になっちまったんだい、ジェニー。

個人的にはメグとセロンよりも遥かに気になってきたラリーとナタリアの幼馴染二人組。ここまで完璧に恋愛臭を消臭した息の合いっぷり、仲の良さを見せられると、この二人その気がないんじゃなくて、お互い自分の気持ちを自覚した上で、さらに相手が自分に気があることも認識していて、その上でお互い素知らぬふりをしていることを承知の上で、二人してただの腐れ縁という関係を楽しんでるんじゃないのかと疑いたくなる。
なんて胡乱な、と思わないでもないけど、時雨沢さんって偶にサッパリしてるのかネットリしてるのかよくわからん複雑に入り組んだ人間関係をさらっと書いてる時があるので、ついつい穿った見方をしてしまうんですよね。
わりと分かりやすい関係であるメグとセロンよりも、今はラリーとナタリアの方が気になる今日この頃なのでありました、と。