機工魔術士 -enchanter- 18 (ガンガンWINGコミックス)

【機工魔術士 -enchanter- 18/19】 河内和泉 ガンガンWINGコミックス

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機工魔術士、ホントのほんとの最終巻。本編終了後に番外編を以って結末とする、という話は聞いていたものの、まさか番外編が二冊出るとは思わなかったですよ、しかも同時に(苦笑
いや、これこそ嬉しい悲鳴か。この傑作の余韻は出来るだけ長く浸っていたからなあ。

というわけで、番外編第一話は骨先生ことパラケルススのお話。このオッサンの過去の回想見てる限りでは、本質こそ変わらないもののただの人間の頃はやっぱり今よりはスレてなかったんだよなあ、と思ってしまったわけだが、あれでスレてないって今はどれだけスレてんだよ、と。でも、悩み方が分かりやすいというか、今が分かりにくすぎるというか。単に、過去編ではパラケルススの内面描写をじっくり描いてくれているから、彼の懊悩と思索が生々しく伝わってくるだけで、今だって探求の深度こそ深まったものの、その方向性は一切変わってなさそうだしなあ。
若者であるが故に、まだまだ生きることへの探求の方向性がシンプルな晴彦たちと違って、やっぱりパラケルススのそれは一言で言い表せない複雑怪奇な代物で、だからこそじっくり観察すればするほど興味深いんだ。面白い事に、この人ってどうにも自分の中に物事への結論というものを出そうとせず、曖昧なままにしておくことにしている気がするんですよね。ユウカナリアに対する気持ちとか、医者としての生き方とか。もちろん、ベクトルは確固として顕在してるし、譲る部分譲れない部分というのは非常に明確にあるんだけど、答えを曖昧にしているせいか、変に枠組みを作って行動思考が窮屈にならず、とても自由に、流れるように生きてるように見えるんですよね。傍目には傍若無人、無軌道、フィーリングの赴くままに好き勝手しているようにも見えてしまうわけですけど。
まだ人間だった頃の彼を見てると、本来はもしかしたらとても窮屈でガチガチに固まった生き方しか出来ない人間だったように見えなくもない。自由人とは一線を画してるんですよね。社会の秩序や倫理には縛られてないけど、自縄自縛、自分の生き方に縛られてる、みたいな。もしこれで、このまま彼が自分の中に結論を有して、それを至上とする人になってたら……それがカリオストロだったのかもしれないですね。

しかし、骨先生はアダルトだよなあ。というか、今回この巻かなりエロいんですけど。ユウカナリアなんか剥かれてるし、回想編ではもろにエッチしてるシーンあるし(絵では描写してないけどw
あのアイちゃん、マジ骨先生の実子だったのか。そして、彼女の中ではユウカナリアはマジで次のお母さん候補なのか。

18巻の第二話は、ようやく想いを通じ合わせながらも、今までの関係を急に変えることもできずに戸惑う晴彦と優香のお話。
平穏な日常に戻って、改めてこの二人の関係を眺めてると……前途多難だなあ、と苦笑いが浮かんでくる。二人の恋愛ってまだまだ始まったばかりで、まだ解消できてない齟齬が実は山ほどあるですよねえ。男子三日逢わずな刮目して、の言葉にあるように、優香が気づかないうちに晴彦が心身ともに吃驚するくらいに成長してしまっていて、並みの人間が味わえない経験をたっぷりしてきた晴彦は、優香が幼い頃から知っている彼のイメージと大きく変わってしまっていて、見てたらなんか優香姉、晴彦に対して劣等感とか引け目みたいなものを感じてるっぽいんですよね。それに対して、晴彦の方は今まで通り幼い頃から自分の面倒を見てくれていたお姉さんで、先生で、恋人同士になったというには最初の段階から認識や感情のスレ違いがえらいことに。
この二人、幼馴染というわりにはお互いがお互いをどう思ってるとか、全然分かってないしなあ。その割に、気心が知れてる分、言葉が足りなくなってるし。
両方とも押しが強い方じゃないし、実はユウカナリアが二人にちょっかい掛けてた方が、上手いこと進展するんじゃないかと思ってしまうくらいに。ところが、ユウカナリアといえば変に空気読んじゃって、二人の関係からは妙に距離置いてるからなあ。
今回は晴彦が勇気出して踏み込んだおかげで(偉い!)、幾分か齟齬が解消されたわけだけど……これからもなかなか大変そうだわなあ、これ。

ところで、あとがきを読む限り、この後本当は二人の初えっちがあった予定だったのかしら? あの滅茶苦茶えろい妄想の一コマは、その名残か。
骨先生のエピといい、今河内さんがエロマンガ描いたら、えらいエロいのになりそうw

19巻の感想はまた後ほど。