創立!? 三ツ星生徒会2 それから恋3は加速した (ファミ通文庫)

【創立!? 三ツ星生徒会 2.それから恋3は加速した】 佐々原史緒/大場陽炎 ファミ通文庫

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この作品って、考えてみると凄いんですよね。ラブコメにも関わらず、ラブコメとして在って当然の、ラブコメとして大前提となるべき部分を放棄してるんですから。
ラブコメ史上、他に類をみないこの設定。

主人公を好きな異性が皆無!


これ、読み終えたあとにサブタイトルを見直すと、なんだか泣きたくなってきますよ。主人公・向坂恵、恋の加速に完全に置いていかれてるじゃないか!(涙
普通、ラブコメの主人公っていったら、誰かしら女の子に好意を持たれてるもんじゃないですか。たとえ現在は好きに至らなくても、好意の萌芽のようなもの。現代風にいうなら、フラグみたいなものが立ちかかってるみたいな。
皆無。
もうびっくりするくらいに皆無。

これほど誰からも眼中にない、っていうのは凄いですよね。恵の秘密を知る共犯者であり、恵の恋の相手である陽菜は、一途に鳥越の事を想っていますし、葛城さんはと言えば水穂さんに夢中。ゴスロリヤンキーさまはと言えば、葛城女史一択ですし。敢えて言うなら水穂様なのかもしれませんけど、この駄神様に恵へのそういう感情があるようには一切見えないしなあ。
ただこの主人公、恋愛面でこそ誰からもアウトオブ眼中なんですけど、肝心の生徒会活動に関しては、その地味ながらも堅実な働きが徐々にですが皆に認められ、信頼を得はじめているわけです。三校が合併してできた新設校の三ツ星学園は、それぞれの学校出身者が別れて対立軸を構成し、これまで反発や敵対、そして無関心によって乱れに乱れていたのですが、それが今、ここに恵を中継点というか楔というか緩衝地帯みたいにして、段々と一体感を獲得し出してるんですよね。
その意味では、彼はほんとによくやってると思うし、皆もその努力をちゃんとわかって認めてくれてるわけです。
ちゃんと頑張って、結果出してるんですよー。存在感薄いというわけじゃないんです。
なのに、恋愛面ではひとり蚊帳の外(笑
いや、蚊帳の外ではないのか。水穂様と合体した謎の転校生水穂さん(性別不明)として、葛城・鳥越両名のハートをがっちりしとめてるわけですし。
ただ、水穂として頑張れば頑張るほど、恵としては割りを食っていってしまうわけで。また、葛城・鳥越の二人を騙してるわけでもあり、精神的にも罪悪感によるダメージ大きいしで、恵ってけっこう一貫してボロボロなんですよね。可哀想に。
そんで、最後のアレでしょ。報われないんだよなあ。

陽菜の行動は、正直確かに酷いと思います。本人も最後に自分の酷さに気づき、愕然としてましたけど、やっぱりこの娘の目には鳥越しか入ってないんですよね。
ただ、彼女はそれでいいと思うんだよなあ。そりゃ、本人は大いに反省し、罪悪感に打ちのめされ、痛みに唇をかみしめるべきだとは思うけど、それでも恋する少女としてそれは受け入れるべき悪業ではないかと。綺麗なだけじゃいられない、というかなんというか。
でも、生徒会活動で付き合うにつれて、恋敵である鳥越の魅力的な人柄に気づかされ、そのたびに打ちのめされる恵の心の痛みは如何ばかりか。
実際、鳥越君のスペックって、主人公マックスレベルなんですよね。多少性格が気難しかったり、とてつもないドジっこだったりという欠点すら、完璧へと至る御愛嬌ってもんです。挙句、過去にトラウマあり。そんで、陽菜とは幼馴染。本来ならこれ、主人公とヒロインの立ち位置で、他人が割って入れるもんではないわけで。
……本気でなさそうだもんな。

今後これ、どういう展開になるんだろう。まるで想像できないんですよね。あれは、完璧にどうにもならない失恋だったわけだし。
可能性としては、葛城女史が一番大きいのかなあ。衣装選びで一応接点あったわけだし。ただ、恵も葛城女史も今のところ異性としてはお互いまるで眼中ないわけだし。これからの進展によるんだろうけど……。
しかし、あの恵のファッションセンスは彼女無し、姉妹無し、ただの野暮ったい一般高校男子としては、的確すぎて吹いたんですけど。佐々原先生の中身ですぎじゃないですか、あれ(笑
出すぎといえば、サッカーネタもアレですけどw

なんだか水穂さまも調子悪いみたいだし、ここから話がどう転がっていくのか。星イチ生徒会のメンバーもここで合流したことだし、改めて恋模様、複雑に再編されていくのかしら。どうなるのか、次また楽しみ。期待期待。