鳥籠の王女と教育係―魔王の花嫁 (コバルト文庫)

【鳥籠の王女と教育係 魔王の花嫁】 響野夏菜/カスカベアキラ コバルト文庫

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うわぁ、ここからさらに王女エルレインに試練を課すのかぁ。
産まれたての頃に、謎の魔法使いによって、魔女であった母を殺され、自身も触れた異性をカエルにしてしまう呪いと、離宮の建物を一歩でも外に出ると死んでしまうという呪いをかけられたエルレイン(正確にはエルレインに死をもたらす呪いを母が命をかけて防ごうとしたものの叶わず、それでも幾分か軽減したけっか二種の呪いとなって降りかかったらしいけど)。
その呪いによって生まれてこの方、離宮からも出れず、何人もの男性を結果として死なせてきてしまった彼女。まだ十代の若い身空にして心に大きな傷を負い、また将来に希望も持てぬまま生きてきたわけです。
そんな彼女のもとに訪れたのが、魔法大国エリアルダの王子アレクセルの求婚と、彼によって送り込まれた希代の魔法使いゼルイーク。このゼルイークによって、エルレインの呪いは時間こそ掛かるものの、解けるものとなり、エルレインの未来は開けたわけですよ。
カエル化もとりあえずは、カエルになった男を元に戻せるようにはなったし、死の呪いもゼルイークの手さえ握っていれば、館の外に出れるようになった。
これ以上、王女が哀しい思いをすることも、誰かを死なせることもなくなった、と思ってたんですけどねえ。

現れたのはエルレインの初恋の人。かつてエルレインの呪いを解こうとして力及ばず去っていった魔法使いシスティーク。……やっぱりエルレインってけっこう惚れっぽいよなあ(苦笑
周囲に男性がいなかったせいか、すぐに心動く傾向にあるし。まあ、男運がいいのか悪いのかはいささか解釈の余地があると思うけど。
……それにしては、幼馴染のオルフェリアの兄貴のローレイへのスルーっぷりは酷いんですけどね。今回なんか登場すらしなかったしw

ともかくも、男の見栄というのは、女性の側の視点から見ると、これ正直勘弁してくれよ、と思うしかない代物だよなあ。相手が自分の事を想っていることはわかるし、そのために何もかもを投げだそうとする気概は、見方によっては美しい話、美談になるんだろうけど。当事者の女性として見れば、そういうことされるとたまったもんじゃない。重すぎるわけですよ。相手がそういう無茶をしたのが、自分のためだというのならなおさら。背負わされる方の身にもなって欲しい。
それは結局は相手の事を見ていない、自分が満足するための暴挙なんですよね。ちょっと辛辣すぎる言い方かもしれないけど。でも、男の見栄、という表現が使われているのは、エルレインの心を慰めているのではなく、男の愚かさを指摘するためのものだと思われるので。
とはいえ、糾弾をしているわけでもないんですけどね。システィークのどうしようもない気持ちは、しっかりエルレインに伝わっていたでしょうし。でも、その伝わっていたことこそが、エルレインをさらに傷つけているあたり、この作品の容赦のなさが伺いしれます。

その点、ゼルイークはやり方こそ不器用で下手くそな傾向があるけれど、なるほど確かに気遣いの人なんだなあ。オルフェリアの方がさらっとその点を指摘したのは意外で面白かったけど。案外皮肉と毒舌の応酬を繰り広げている当人同士より、傍で見ている他人の方がそれぞれの素顔がわかりやすいのかもしれない。アレクセルもあの惚けた性格で、しっかりゼルイークのことよく見てるし。
意外だったのは、二巻でゼルイークの素性や彼の身にかせられた秘密をもったいぶらずに、エルレインに明らかにしてきたところですか。
こいつはこいつで、エルレインに勝るとも劣らない過酷な運命を背負っているわけか。
アレクセルはそんなことをエルレインに教えるとは。自分が何やってるか、絶対分かってないよなあ、このカエル(苦笑
歌劇のクライマックスでのエルレインの思わずの反応、あれを見せられたらねえ。彼女の感情が今やどちらに向かいつつあるのか、わかろうってもんでしょうに。

一方で、こっそりオルフェリアが乙女な反応してるのが気になる気になる(w
こちらはこちらで順調にフラグ立てまくってるんだろうか。あのカエルはカエルだから気づいてなさそうだけど。
アレクセル王子、要所要所では滅茶苦茶いいこと云うし、なんだかんだとエルレインの心を慰める明るさを振りまくイイ男なんだけど……わかってないんだろうなあw