世界平和は一家団欒のあとに〈7〉ラナウェイキャット (電撃文庫)

【世界平和は一家団欒のあとに 7.ラナウェイキャット】 橋本和也/さめだ小判 電撃文庫

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前巻の感想の締めで、そろそろ弟くんの話をして欲しい。女絡みだと面白そうなんだけどなー、と言ってたら、ピッタリそういう話が送られてきましたよ、いぇい♪(笑
というわけで、星弓家の中で一番出番らしい出番もなかった弟・刻人が主人公の話がきましたよ、の第七巻。そして、新たな嫁登場(ww

いやぁ、もう最高だなこの兄弟は。なんでこんなにカッケぇの? と武者ぶりつきたくなるくらいに格好良い。惚れそう。
この兄をして弟あり。今まで事件に絡んでくるのはだいたい姉ちゃんズか妹ばかりで、唯一の男の兄弟である弟の刻人に関しては人柄については描かれていたものの、深く絡んでくることもなかったのでそのキャラクターについては通り一辺倒のものしか見えてなかったんですが、こうして事件の中心人物として絡んでくると、確かに言われていた通りの人柄だったんですけど、それ以上に実感したのが、もう間違いなくこいつ、刻人の兄弟だわ、というところですか。
もう、そっくりじゃないですか。
性格や考え方の違いはあろうとも、あのオヤジ殿を含めて星弓家の男どもはその根底部分で魂が一緒としか言いようがないね。一本芯の通し方がどう見ても一緒なんだから。なんという背中で語れる男ども。

なんで、<運命>だか<世界>だかが、世界の危機ってやつと星弓家の面々を引き合わせようとするのか、今回のエピソードでなんとなくわかった気がするかも。もしその<運命>だか<世界>だかが、機械的に、もしくは能率的、効率的と言ったらいいか。単純に世界の危機を回避させようとしているなら、もっと相応しい人材がいると思うんですよ。それこそ、非情なほど冷静に、何の斟酌もなく世界を救うためにリスク少なく最善の行動をとれるような正義の味方が。
ところがどうしてだか<運命>とやらは、わざわざ世界の危機を星弓家に持ってくるんですよね。ともすれば、世界を救うことよりも身近な人たちの心や想いを守り助けることを優先してしまうような、あの一家に。
だとしたら、つまりそれが<世界の選択>なんじゃないですかね。
もし世界を救うことだけを考えるなら、たとえば今回のケースなど、あの黒服たちの主張の方が正しいわけですよ(やつら、無能なので余計事態を悪化させてた傾向がありますけど)。ところが、<世界>が事態解決のために世界の危機の中心に引き合わせたのは、星弓刻人であり、軋人の兄弟だったわけです。こりゃあもう<世界>がね、こう言ってるも同然じゃないですか。自分と同時に、その娘も助けて見せろ、ってね。
軋人の双子の妹の一件もあって、この<運命>ってやつは冷徹無情なもののようなイメージがあったんですが、最近はあんまりそう思わなくなってきたかも。なんかね、わざわざ星弓家にばっかり世界の危機を救う役割が割り振られるのは、<世界>が星弓家のやり方を気に入って、信頼してるからなんじゃないかなーと思えてきたんですよ。
惚れてるんですよ、きっと。好きなんですよ、きっと。<世界>だか<運命>だかも。あの一家のことが。

それにしても、毎回毎回感心させられるのが、あの家族間の昔のエピソード。今回についてはあれだ。秘密基地と猫の話。本来世界の危機という大スケールの話が、毎回毎回なんだかんだと日常の延長上にある家族のお話としてまとまってしまうのは、この過去の回想シーンが非常に大きな意味を為しているように見えるんですよね。
傍目からみたら決して特別な出来事ではない、けれど家族・兄弟の間では忘れられない大切な思い出の一ページ。家族の間にある絆の原風景が、そこから広がってるんですよね。そして、どんな大きな大事件も最終的にそこに収束していく。

「猫、いっしょに埋められなくてごめんな」

この軋人が刻人に告げたセリフ。事件には何の関係もないはずなのに、この言葉こそがこの物語における真だったんですよね。もう、このシーンでこのセリフが出てきたときには、泣きそうになってしまいました。そして、この兄弟に惚れた。

しかし、刻人は軋人に比べて真面目で頑固で融通がきかない分、逆に言うと素直だったなあ。柚島と軋人の二人がいつまでたっても素直になれず進展がない(そのわりに環境は順調に整っているのが笑えるが)のに比べて、刻人と梢は見事なくらいに上手くいきそうな気配でニヤニヤ。この少年、意図せずけっこう恥ずかしいことを平気で口にしそうで……いや、それは彼を見縊ってるか。意図せず、にではなく完全に理解して気障なセリフを吐きそう。もっとも、それを恥ずかしいものと思っているかどうかは怪しいけど。梢に対しても、随分サラッと言っちゃってたしなあ。
梢もこれ、喰わせ者の少女だから変にあたふたはしないだろうけど、柚島みたいに尻に敷く、とはいかなさそう。でも、猫属性っぽいから、甘え上手ではありそう。ちなみに、梢はキャラデザインから性格まで、もろにストライクゾーンでした、御馳走様w
うーん、なんででしょうね。弟に恋人っぽい人が出来ました、ってだけなのに、星弓家にまたひとり、家族が増えた感じがして妙に嬉しいやら楽しいやら。
なんで他人様の家族の様子にこんなに一喜一憂してしまうのか。もうべた惚れだな、これ。