Landreaall (14) (IDコミックス ZERO-SUMコミックス)

【Landreaall 14】 おがきちか IDコミックス ZERO-SUMコミックス

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かー、どうしてAmazonは表紙絵こないかなあ。二ヶ月くらいかかるそうだけど。ちなみに今回の表紙絵は原点に返ってか知らないけれど、DXとイオンの姉妹二人。加えて裏はお久しぶりのリゲイン&ファレルのお父ちゃんお母ちゃん若いころバージョン。いやー、何度見ても若い頃の傭兵時代のファレル母さんはデラカッコいいわー。この裏表紙、さり気なく二人が腕組んでるのがにやけるねえ。


はてさて、本編の方はというと、アカデミーも夏休み。DXとイオンはそれぞれウルファネア王国の一件とアカデミーでのモンスター襲撃事件を経て、故郷に帰郷中。そのへんの後日談と言うか、事後処理というか。DXもイオンも、それぞれに事件を通じて自分の立場というものを否応なく顧みなくちゃいけないことになったからなあ。その辺の心境の整理と、周りの事後処理なんかをバラバラと、って感じかしら。

と、初っ端からメイアンディアとレイ・サークの密談――というかこれはディアの脅しだよなあ(苦笑 からはじまるあたり、怖いねえ、色々な意味で。ディアって大老と関係あるって話は前してたみたいだけど、なんかこう、先生と生徒みたいな感じなのね。とはいえ、単純な師弟ではなさそうだけど。天恵が絡んでるみたいだし。しかし、ここでレイ・サークが言ってるディアの天恵って、かなり物騒なような……。
という能力的なもの以上に、レイ・サークが、あのレイ・サークがここまで彼女にビビるっていうのは、ディアがある意味アンちゃんよりも喰えない人ってことだよなあ。怖い怖い。
そのディア、個人的興味、好奇心の類いをDXに抱いてて、レイ・サークに彼「で」遊ぶなと釘さしているわけだけど、今のところ恋愛感情とかは皆無っぽいなあ。とはいえ、私的に関心を抱いているというところは非常に注目だけど。どうもまだ断片的にしかそのキャラが垣間見えてこないけど、こんな風にレイ・サークを掣肘しつつけし掛けるような真似をするタイプの子じゃないんだよね、ディアって。単なる好奇心だけでは、ここまで攻撃的アプローチをするとは思えない。まだ今のところ自分が直接彼の懐に飛び込んでDXという人を確かめたいと思うまでには至っていないみたいだけど、それも時間の問題じゃないのかな、これは。
いや、どうだろう。本心はすでに彼の傍に行ってみたい、というところまでは思っているのかも。レイ・サークに対して、貴方は傍にいられるんだから、みたいなことを言っていることからすると……。
やっぱり、公の裏側っぽい立ち位置に身を置いて動いている立場だからだろうか。大老の密偵というほどアウトサイダーな立場じゃないみたいだけど、その意を受けて非公式に立ち回ることくらいはしてそうだなあ。以前のDX暗殺未遂事件の処理の仕方なんかを見ても。


竜胆と五十四さんは、DXとともにエカリープに滞在しているのだけど、海老庵師父とリドとの挨拶がこれまた秀逸。ここのやりとり、最高だわ。イオンの面くらいっぷりもさることながら、リドの気づくまでの過程がねえ(笑
ここでウルファネアの常識にとらわれず、自分の常識がエカリープでの海老庵先生の扱いとかけ離れていることに気づいた途端に、赤面できる、というのはリドの偉い所だよなあ。郷に入れば郷に従えで表面上合わせているのではなく、ちゃんと恥じ入ってるもんなあ。

リドと先生の話は、ちょっと衝撃だった。海老庵先生、まさかそんなことになっていたとは。だとすれば、五十四さんもそうなんだよなあ。
彼女、さらっと自分の将来について語ってるけど、イオンたちが聞いたらそれショック受けるぞ、絶対。リドがそんな五十四さんの宣言に顔色一つ変えていないのも、ちょっと吃驚と言うか、いや吃驚じゃないな。もう飲み込んでいるんだろうね、そういうものだと。でも当たり前のことだとも思っていないのは、DXやイオンたちのことを慮っているのを見ても明らかで……。この辺、やっぱり単純で純朴なだけの青年じゃないんですよね、リドは。ニンジャを使う為政者としての心構えみたいなものがしっかりと出来上がっている。あれほどニンジャと主としての枠を超えて姉弟のように親密にしている五十四さんのことにもそれが普通としちゃってるんだもんなあ。いや、これ傍から聞いてたらけっこうショックですよ、うん。

リドとDXのここでの会話はよく覚えておいた方がいいのかもしれない。ウルファネアで自分の立場を利用したことを踏まえての、DXの今後の指針のようなものだし。ある種の感性に基づいて奔放に生きてきたDXだけど、今後はこんな風に自分についてよくよく考えながら歩いていかないといけないようになってきたんだなあ。
とはいえ、思いついたことは忘れちゃうから自分の言ったこと覚えておいて、とリドに丸投げしちゃうあたりが、DXの素敵なところだ(笑
ある意味、こうして熟考して道を確認しても、とりあえずポンと頭の中を白紙にしてしまえるDXだからこそ、瑞々しいまでの自由さを失わないのかな。常に新鮮ってね。もちろん、忘れたからと言ってなかったことにしているわけじゃないから、大事なことは積み重なっていくわけだし。


おおっ、増刊号に載っていたというアカデミーでのビックハンドとティティとの会談もちゃんと載ってるじゃないか。ここで、ティティの視点から事件が要約され、彼がどんな風に一連の事件を捉えていたかをこうして詳らかにしてくれたのは、大いにありがたい限り。
イオン…イオンか。本物のお姫様? 彼女が信じたからこそ、本物の騎士団になれた……か。この辺の解釈と言うか、騎士がどう騎士らしくあるか。偽物と本物の違い。本物の淑女、本物の騎士。この相関の考え方は、作者のブログでもハルとジアの話と絡めて少し語られていたけど、興味深いよ。
式典の話を読んでても、本来ならモブ的な立ち位置にいるキャラまで非常にこと細かく設定が定まっているのがよくわかる。ブログでもちょこちょこっと触れられてますけどね。あの人が王子さまだったなんて、びっくりだよ(笑
読者の目の届かないところまで事細かく決めごとをしていて何の意味があるのか、って考える人もいるかもしれないけど、これは作風にもよるのだろうけど、むしろ表に出てこない膨大な設定こそが、巨大な基礎となって物語の自由さ、どこにどう進んでも世界が広がっているという広大さ、奥深さを支えているんですよね。特にこの作者先生はでっかいタンスの引き出しをちょこちょこ引っ張り出して、それを漫画にしてるような感じだからねえ。以前、伏線なんてあんまり考えて描いてないよー、みたいなこと書いてらっしゃったんだけどね。あれは感銘受けたなあ。意を得た、とも言えるかも。自分もちょっと経験あるんだけど、伏線って事前に仕込むもんじゃなくて、その場でぐるっとまわりを見渡して、そこにあるのを見つけてつまみあげてホイっと叩きつけるもんなんですよね。実のところ、その方が効果的かつ映えた形で機能していた、という経験が自分にもあるわけで。事前に準備しておくと、ルートが硬直化しちゃう上に、道幅が狭まっちゃう場合、あるもんねえ。まあ、あるがままをあるがままに描き広げていける、というのはそれこそ、才能とセンスと根気と暢気さと小まめさといい加減さがないとなかなか難しいしなあ。

ここでフィリップが女の子たちから勲章を受け取り、感謝の言葉を賜るってのは、大きいよなあ。イオンのために、本物の騎士になることを誓ったフィルだけど、これでもう、イオン個人のためじゃなく、淑女の理想のために騎士たるを目指すだけの理由が出来たわけだし。


んで、エカリープの休日、というかこれは日常編だわなあ。日常編でモンスター退治、というのはらしいといえばらしいんだけど。いや、さらっとエカリープ、ひいてはアルトリア王国の他国と違う特色がここで紹介されてるんですよね。竜を持たない国、か。なるほどねえ、そういう意味合いをこの国や、騎士団は持っていたわけか。
しかし、あのシャツは酷いにもほどがあるぞ(爆笑

最初「?」だったんだけど、リドが所有している刀と海老庵先生が渡した刀だと、あとから渡した「泥み香梅」の方が格落ちなんだ。役不足の言葉を正確に使ってるのって、そういえば初めて見たかも。これって、本来の理由だと意外と使う場面ないんだよね。
いや、しかしDXのシャツの「不能中」が目に入るたびに笑うw

このモンスター討伐で、DXが地元の子供たちを指揮してるのって、何を暗示してるんだろうねえ。DX不在だったアカデミーでのモンスター襲来でのDXの資質を示してるんだろうか。いや、ウルファネアでの一件を経てDXもだいぶあり方変えてる部分なるからなあ。
それにしても、この安定感。この視野の広さはやっぱり凄いよなあ。わざわざ子供たち引っ張り出して、ってのは自覚してやってるんだろうか。それとも、純粋に子供たちのため? 相変わらずDXって何考えてるのか分かりやすいようでわかんない。もっと見えてる部分を素直に受け止めればいいのかもしれないけど。
一方で、故郷でのイオンちゃん、微妙に大人しいんですよね。いつもならDXなんか問題にならないくらいはしゃいではっちゃけてるのに。彼女は彼女で、アカデミー騎士団の件でよっぽど堪えたんだろうなあ。堪えた、というのは変か。へこみはしてるけど、落ち込んでるって感じじゃないし。エカリープでの彼女は、よくよく考えこんでる感じ。だから、普段と様子が違うのをきづいてても、今回はDX、あのシスコンがあんまりちょっかい掛けずに放っているんだろう。くそぅ、シスコンのくせにしっかりお兄ちゃんしてるんだよなあ。
そして、イオンの問いかけに対してのDXの答え。これ、他の連中だったらどう答えるんだろうね。

今回は大ファンであるファエル母さんが一杯出番あって嬉しいなあっと。なんとー、ファレルて幽霊苦手だったんかー! やべっ、激烈に可愛いw
DXが霊感ないってのは無いよね、無い無い(笑
前に思いっきり幽霊とダンスしていたのに。なんなんだろうね、この子は。素で幽霊相手に霊感ないよー、と言い切れるこの感性は。幽霊が見えたり話せたりすることが霊感があるってことだというのを分かってないんじゃないのか、DXは。だったら、霊感があるとはつまりどういうことだと思ってるんだろう。興味深い。
って、ああそうか。お母さんの影響かよw 刷り込みだな、これ。こりゃあ、DX、子供の頃に相当幽霊のたぐいに絡まれた口じゃないのかしら。んで、そのたびにファレル母さん逆切れして大暴れしてたもんだから、自分には霊感なんぞありませんってことにしちゃったわけか。自己防衛?
それでも幽霊を無視するんじゃなくて、幽霊と平然とおしゃべりしながら霊感ないよー、と言い切るのは面白いよなあ。それはそれ、これはこれってか? 面白い子だなあ、ほんとに。

シメオン、この漫画の場面だとライナスもルーディも座ったまんまだから対比がなくってよくわかんないけど、ブログの集合絵みたら確かにちっこいなあ(笑
チビッ子騎士上等。将来的には伸びるらしいし、気にしない気にしない。
ライナスとシメオン、二人の意見の噛み合わなさは、笑えると同時にこの国の身分における立ち場の違いを如実に示してるっぽいんだよなあ。いや、違うか。立場の違いによって出て来てしまったものに、色々と納得できてないわけだ。これって、アカデミー騎士団というあの事件で生まれた、この国の新しい息吹の一つになるのかなあ。ライナスの立場からはそれがよくわからんからああいう食い違いになるのか、それとも分かっていてわざとなのか。意地悪さんだねえ(苦笑
でも、二人ともその意見にはそれぞれ、好感が持てるのが素敵♪
シメオンって、あの現場ではもっとしっかりとした印象あったんだけど、こっちだとすげえ子供っぽいよね(苦笑
というか、可愛いよなあ、シメオン。彼の騎士の誇りというものへの方向性は素晴らしく好感が持てる。変に頑なな部分はあるけど、悪い気はしないんだよね。ライナスもあれで、けっこう気に入ってるんじゃないのか。


と、とろとろと進んでいたところで、ラストにまた急展開。
これは……おいおいおい、ってな感じですよね。うはぁーー。
この手のタイプの人って、DXが一番反発するタイプじゃないのか? とはいえ、この作品のキャラクターって第一印象当てにならないからなあ。それぞれ一筋縄ではいかない、一見しただけではどういうキャラクターなのか見抜けないんですよね。だから、この人も第一印象の地雷踏みまくってるようなそれも、そう単純なことかどうか。
くくくっ、こりゃあ面白くなってきましたよ。ついに、というべきか。今まで匂わされるだけで真相が未だ明らかではなかった、この国が王不在となった一件。リゲインとファレルが出会う遠因となった革命。おそらくは、DXの将来にも重きをなすであろう事件に、ついに話の穂が向けられたわけだ。
さてさて、アンちゃんだって黙っていなかろうて。って、あの人まだウルファネアか!?


ラストのオマケが相変わらず激烈に面白くて困るんだが。
そして、ウールン様ご一行の世直し旅、マジで読んでみたいんですけど(笑
そして、カバー裏のエカリープ図解。圧巻だよな、これ。あの子供たち一人一人にこれほどまでにお話があるとは。そりゃあモブの一人一人までが瑞々しく生きている感覚がほとばしっているわけだ。それぞれに生活があり、日常があり、目的があり、人生があり。町の子供、街の人、という一言で終わってしまう説明だけで終わらない遠大なバックグラウンドがあるんだから。
そんな連中が生き生きと飛び回ってるんだから、そりゃあ面白いわけだよ。

と、書きまくってたらえらい長文になってしまった。しかも脈絡もなし。
んー、まあいっか。こんな感じです、感想だし♪