無限のリンケージ ―デュアルナイト― (GA文庫)


【無限のリンケージ デュアルナイト】 あわむら赤光/せんむ GA文庫

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これはなかなか面白かった。というより、ほとんどサクヤの独壇場だよなあ、これは。
若干十六歳の天才工学博士にして、人形の如しと謳われるクールビューティ。というのは見せかけだけで、その実は担当する決闘競技の選手であるロバートに恋する年頃の娘さん。クールビューティーな外面は、もう完璧にロバートによく見せる為に繕ったもので、元々はどちらかというとガラッぱち。粗野で拗ねたひねくれ者。それがロバートと出会った事で恋に目覚め、一生懸命乙女を磨いて、数年かけて背伸びしたのが今のサクヤさんというわけで。
この恋のために頑張る少女のひたむきさ、冷静な見た目と裏腹の内心のクルクルと揺れ動く感情が、可愛らしいったらありゃしない。ヒロインとはいうけど、心情描写はロバートではなくサクヤ中心だし、彼女の方が主人公と言ってもいいのか。
頼りになるのかならないのか、妻子持ちで口と性格の悪い先輩とのやり取りも面白いんですよね。ベックス先輩、サクヤの本性を知っているのでお互いポンポンと遠慮なく口さがないこと言いあってるんですが、いざデートだったり自分の恋心に息詰まったりした時にサクヤが真っ先にベックスを頼りにしてるあたり、この嫌味な兄ちゃんのことよく信頼しているのが伝わってくるし、ベックスはベックスで何だかんだとこのお子様な後輩にいちいち世話焼いてて、可愛がってるのがよくわかる。恋愛臭はベックスが妻子持ちというのもあって全然皆無なのですけど、このコンビは好きだなー。

ロバートの過去と、その戦う目的。これはなかなか意表を突いてて面白かったんだけど、過去の破綻を経ての中世世界からギャラクシーな宇宙世紀な世界へのすり合わせがなかったんで、ちょっと違和感あったかな。
カルチャーギャップとかもあったんだろうし。まー、その辺は物語の趣旨的に重要ではなかったんだろうけど。

過去の愚直で青臭く、思慮の足りない若者らしいロバートは、これはこれで嫌いではなかったなー。ちょうど一つ年上のお姉さん姫様が、そんな彼を弟みたいに可愛がりつつ手綱を握っていて、ちゃんと恋人としてラブラブ時空を形成していたからだろうけど。こういうバカは、野放しにしておくとウザッたいことこの上ないけど、誰かがちゃんと首根っこ押えてたらわんこみたいで愛らしく感じるんですよね、不思議。
それだけに、現在のロバートの別人のような代わり様は、どれだけ過去の顛末が彼を打ちのめし、心を叩きのめしたのか。それでも、あれほどの絶望を抱きながら、やさぐれず心ねじ曲がらず、じっと耐えるように笑顔の仮面をかぶった彼は、姫が愛したようにまさしく強く真っ直ぐな騎士だったのでしょう。
そして、彼の過去を知り懊悩する中で、彼の仇敵との再会を目の当たりにして、決然とロバートの前に立ち、彼の仮面を引っぺがしたサクヤは、最高にカッコいいヒロインでしたよ。
敵味方をまるごと騙すブラフを仕込み、ロバートに本懐を果たさせるところなんて、もう痛快の一言。そりゃ、このちっこい娘さんに誰も頭があがらんわけだ。ベックスみたいな癖ものが一目置き、弄りながらも可愛がってるのもよくわかる。

色々と荒っぽく、強引なところも多いけど、こんな可愛くひたむきでカッコイイ肝の据わったヒロインがかけるなら、今後も期待せざるをえないでしょう、まったくまったく。

とのラブラブカップル振りが