ウィザーズ・ブレイン〈7〉天の回廊〈下〉 (電撃文庫)

【ウィザーズ・ブレイン 7.天の回廊(下)】 三枝零一/純珪一 電撃文庫

Amazon



 北極上空の大気制御衛星内に転送されてしまった錬たちは、アルフレッド・ウィッテンの遺した日記を発見する。そこには魔法士誕生の秘密と、ウィッテンの苦悩が綴られていた。
 ――天樹健三、エリザベート・ザイン、ウィッテンの三人が発表した情報制御理論、そしてその成果である魔法士は、世界の軍事バランスに大きな衝撃を与えてしまう。三人は「自然発生した最初の魔法士」アリスを守るため、大気制御衛星内に彼女をかくまうが――。
 過去と現在を繋ぐエピソード7、いよいよ完結!



天才がなんとかと紙一重、なのはやっぱり理由があるんだなあ、なんて事を考えさせられたウィザブレ最新刊。
でも、ウィッテンの場合はこれ、普通の人よりも理想家で純粋無垢だよなあ。アリスという掛け替えのない人を得ながらも、この男は自分たちの幸せを手に入れる手段を、個人的な範囲でのそれではなく、世界の変革と安寧によって達成しようとしたんだから。彼ほどの才能と、健三、エリザの協力があれば、アリスと二人、限定的であろうとももっと幸せな生活を手に入れる事が出来たんだろうに。
独善たらんと出来なかった事が、ウィッテンとアリスの不幸であったんだろう。もっとも、彼らが選択した結果が不幸であったというのは、それこそ独善的な見方なのかもしれないけど。
ウィッテンもアリスも、どれほど自分たちの理想が踏みにじられ、人間のおぞましい醜悪さを見せつけられ、現実の冷酷さに打ちのめされようとも、最後まで曲がらずネジくれず、己が信じた理想に負けず戦い続けたのですから。
考えてみれば、一連のシリーズで主人公となった少年少女たち。彼らは皆、ウィッテンとアリス、健三やエリザの子供たちになるわけだ。
想いは途切れず紡がれ続け、知らず知らず世代を超えて子供たちに受け継がれていたんだな。子供たちは何も知らず、自分たちに課せられた過酷な運命に立ち向かった結果なのかもしれないけれど、図らずも彼らはすでに去った者たちの願いの結実となっていたわけだ。
ヘイズとクレアのやり取りなんか、もう読んでてニヤケてしまって。クレア姉ちゃん、その突っつき方はぶっちゃけやらしいです(笑
やらしいって言ったらヘンかもしれないけどw
でも、そう考えると、この場に彼らが集ったというのは、ちょっと感動だよなあ。


過去回想でのアリスとウィッテンの初々しいまでの恋人振りにはあてられっぱなしだったわけですが、子供時代の真昼たちとか、健在の頃の雪さんの雄姿が見れたのは良かった。祐一って、もっと雪に頭上がらない関係なのかと思ってたけど、これで見てる限り頭が上がらないというより忠犬ドーベルマンって感じじゃね? 
とりあえず月夜姉さんは、どうやって廃材からレールガン作れるのか、教えてくださいw というか、幼児がレールガン作ってぶっ放して遊ぶな!

賢人会議、というよりも真昼の構想か。これも明らかにされることで、真昼が何を考えて動いていたのか、やっとわかったわけだけど、ここでウィッテンの遺産が彼の元にもたらされることで、またぞろ物語がどう進んでいくか分からなくなったなあ。最終的な終着点は明快なものの、其処に至る過程がいったいどうなることやら。ぶっちゃけ、あの真昼が途方に暮れる、というシーンを見ることになるとは思わなかったし。彼が知った内容ってのは、よっぽどの代物だったんだろうけど。となると、キーワードは残り五つの暗号が誰のもとに贈られたか、って事になるわけか。
どうやら、まだまだ終わりそうにないなあ。