L 3  詐欺師フラットランドのおそらくは華麗なる伝説 (富士見ファンタジア文庫)

【L 3 詐欺師フラットランドのおそらくは華麗なる伝説】 坂照鉄平/水谷悠珠 富士見ファンタジア文庫

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しまった。完全に油断していた。なまじ前回が明るく前向きなノリだっただけに、忘れてしまっていた。
これが、<荒野>の物語だったということを。
そう、これは西部の。非情で無情な現実が横たわる、荒れ果てた大地の物語だったのだ。
思い起こしてみれば、一巻では死人こそ出なかったものの、アーティアは人間不信になりかねない手酷い裏切り。友情を切り捨てる人の欲に塗れた裏切りを受けてるんだよなあ。
そして、今回の悲劇。ただでさえ、この結末はアーティアにとっても辛い事だろうに、それを引き起こした原因の一端が、自分が敬愛し信じて疑わなかった人々にあったわけだから、彼女は今度は人間からではなく自分の身内から手酷い裏切りを受けたことになるわけだ。しかも、その結果アーティアは図らずも、今や自分が一番大事に思っている人を裏切ってしまってたという事になっちゃうんだよね、これ。こんな素直でまっすぐでイイ子が、なんでこんな境遇に置かれちゃうのかなあ。健気でひたむきで、ほんとに一生懸命なんだぞ。
バーンみたいな小心者で意気地無しで女好きの、クズと呼ばれても仕方無いような人間を、純心でなけなしの勇気を奮い起すただの恋する男の子にしてしまうような、そんなイイ子なんだぜ。
そんな子の穢れない魂を踏み躙るような彼奴らの行為には、ちょっと本気で虫唾が走った。まだ悪意だの欲望だのがある人間たちの方が、そういうモノと納得できる。むしろ、使命感や正義に忠実たらんとしているやつらの方が始末におけない。まったくよくある展開だけど、ほんとにこれは頭にくるね。

しかし、今回の結末はマジでへこんだ。不器用なモノ同士のすれ違い、拙くも必死に繋がろうとしていた結果がこれっていうのはねえ。当事者たちの誰もが悪くなく、周りの連中も一生懸命グッドなエンディングに向けて努力していただけに。なにより、この二人がとてもよいキャラクターだっただけに。ショックは大きかった。
バーンなんか、今回ほんとよくやってたよ。こいつ、何だかんだと義理固いんですよね。ちゃんと恩ある相手には報いようとする、決して女の子だけに甘いわけじゃないんだよなあ。この野郎は話が進めば進むほど株があがりやがるぜ。
アーティアは、まだ恋とは一体何なのかもわかっていない世間知らずの幼い無垢な少女なのだけど、このままそのバーンへの気持ちを屈折させずに育てていけば、とても素敵な恋になっただろうに。二人が置かれた境遇の重さが、何とも憎々しい限りだ。最近、ブロックの大将と副長のあんちゃんが頼もしいので、なんとか味方の役回りでこの二人を助けてやってほしいところだけど。
物語もわりと早く佳境に入ってきた感もあるけれど、突っ走るならこのまま加速してラストまで駆け上がって欲しい所です。