ゼロの使い魔 17 黎明の修道女〈スール〉 (MF文庫J)

【ゼロの使い魔 17.黎明の修道女〈スール〉】 ヤマグチノボル/兎塚エイジ MF文庫J

Amazon



地味にショックだったのが、デルフの死に対して周りの反応がけっこう薄かったところ。サイトがへこみまくってるのに比べて、あっさり流されてるんですよね。確かに、デルフってサイトとの密接な関係と比べて、それ以外の人間とはさほど接触もなかったから、周りの人間からしてみたら喋る剣が壊れてしまった、という程度の事かも知れないのだけど。結局道具扱い、サイトの付属物としてしか捉えられていなかったわけだ。
そこに、サイトとデルフの関係性、サイトという異世界から来た争いも何も知らなかった男の子の抱いている孤独に着目して、デルフの喪失の意味を考える人はいなかった、ということになるんだろうね。
その点、ルイズはしっかりと泣いてくれたのは、なんか嬉しかったけど。

さて、アンリエッタ女王様のご乱行ですけど、これまで比較的女王様には同情的というか擁護派だった私ですが、ここまでやられると、いただけないなあ。そこで開き直っちゃいかんよ。
女王の立場を利用しているくせに、ルイズを親友としても部下としても蔑ろにしすぎてる。ぶっちゃけ、酷い。
これ、男女の性別逆だった場合を考えてみなさいよ。王様が側近の恋人に手を出して悪びれず、なんか文句あるか、と言ってるようなもんだ。ハッキリ言って、これはルイズはトリステインに三行半を突きつけて、他国に亡命しても仕方ないと思う。普通、そこまで虚仮にされて、臣下として忠誠を誓えるはずないだろうに。
とにかく、アンリエッタが色恋沙汰にかまけて、政治的にどれだけ大ヘマやらかしてるのか、自覚すらないのが恐ろしい所。ルイズが国家的に重要なコマだというのなら、それだけ気を遣って遇するのが主君としての務めだろうに、それをあの扱いじゃあねえ。無能と罵られても仕方無い。なにより卑怯。この点、シエスタは真っ向勝負なんですよね。気持ちいいくらいに。彼女はルイズを尊重している。尊重した上で、真っ向から蹴っ飛ばそうとしている。コソコソ掻っ攫おうとしている女王とは大違い。冒頭、この子がルイズの代わりにサイトをひっぱたいた時は気持ち良かったし、ルイズを大好きだと言ってくれたのは嬉しかった。

今までもけっこうフラフラしてたサイトだけど、実のところこれほど明確に浮気をやっちゃったのは初めてか。今回に関してはルイズにまったく非無し。彼女の怒りはもっとも。上でも書いたけど、あそこまで虚仮にされて、よく他国に亡命しなかったと褒めてやりたい。だいたい、真実を実家に訴えたら、場合によったらラ・ヴァリエール家そのものがトリステインから離反していた可能性だって無きにしもあらずだったと思うぞ。基盤が盤石な王家ならともかく、アンリエッタは土台グラグラなわけだし。
虚無の使い手あるルイズを蔑ろにして、自分の色恋を優先させる王様なんて、誰が政治的に信用しますか。
だいたい、アンリエッタはルイズを恋だけに生きてる、なんて戯言抜かしてますけど、結局この主君は自分の臣下がどれだけ貴族として、女王の側近としての責務を果たそうと努力してきたか、一時は命を捨てる覚悟すらしたこともあったのに、そういう決死の覚悟も献身的な働きも何も見ておらず、何の評価もしていなかった、って事になるんですよね。
もう、今回は腹が立って仕方無かった。アンリエッタへの文句ばっかりになっちゃったな。まあしょうがない。女王の評判が悪いのが、よくわかった。

前回、なんであれほどイザベラの変心を急いでやったのか、不思議に思ってたんだけど、なるほどこういう展開が控えていたためだったのか。
この辺、作者がきっちり計算して話を展開しているのがよくわかるところだけど……タバサとイザベラの関係はもうちょっと余裕をもって遊ばせて熟成させてほしかった気もするけど。まあ、いきなり最上限にまでメーターあげちゃってたから、仕方無いか。