聖剣の刀鍛冶(ブラックスミス) 6 (MF文庫J)

【聖剣の刀鍛冶(ブラックスミス) 6.NewWorld】 三浦勇雄/屡那 MF文庫J

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おい……おいおいおい、これマジで詰んだんじゃないのか?
ただでさえ、ヴァルバニル復活を直前に控えながら、セシリーの秘密が明らかになり、国際情勢は悪化の一途。悪い材料ばかりが積みあがって、そろそろ希望の芽でも見せてほしい、と切に願っていた矢先に、この作者ときたら……。
さらに、追いこみかけてきやがりましたよ!!

ラストの鬼気迫る挿絵と合わさった盛り上げ方は、素晴らしいの一言。あそこでのセシリーの抱いた想いは、読者と完全にシンクロしていたと言って間違いないだろう。そこまでの持って行き方が凄いのなんの。
いや、あと先考えてるのか、これ? ここまで一つ一つ丁寧に此方側のカードを叩き潰されてしまった以上、ここからどうやって逆転するのか、正直言ってさっぱり思いつかない。セシリーたち独立都市に軍国側が失策をしたわけではなく、現状で着手できるほぼ最善手を打っていながらのこの状況である、というのが余計に巻き返しの余地をなくしてるんだよなあ。

今回、アリアがさり気に女の子してた。シーン的には少なかったけど、なかなか印象的だった。セシリーにしてもこのアリアにしても、自分の気持ちを誤魔化すってことはしないのね。セシリーはともかくとして、アリアがああも自分の感情を自覚的に取り扱うとは思ってもみなかっただけに、この展開はちょっと驚き。ただ、自分の気持ちはともかく、相手の気持ちはわかっちゃいないみたいだけど。彼が動揺しまくってたのは、アリアが魔剣だからじゃねえっての(笑
その辺、まだ自虐的な部分が強いのかもしれないけど。

ルークとセシリーの関係は、もうほとんど鉄板状態と言っていいのでしょう。ただ、ルークが自分の体の状態と合わせて、覚悟決めちゃってるために、セシリーの想いに応えるつもりが一切なさそうなのが、悲壮なんだけど。でも、折々でもう読んでるこっちまでメロメロになりそうなセリフ吐きやがるんだよな、この野郎。実際、これくらいでないとセシリーみたいな熱血主人公タイプのヒロインに【恋する女の子】をさせるのは難しいのかもしれない。
そのセシリーは、と言えば、この娘はほんとに毎回毎回戦えば負けるよなあ。単純に勝敗表を作成したら、負けの方が圧倒的に多いんじゃないだろうか。ただ、セシリーが強くなったなあ、と思うようになったのは、たとえ勝負に負けても、心が折れなくなったところだろうか。雑草のように踏まれても踏まれても、伸びてくるように、負けたら負けた分だけタフになっていっているような気がする。
そんな負けても負けても折れずに立ち向かうセシリーの心の強靭さが伝わってくる頃だからこそ、余計に最後の彼女が感じた絶望感が、圧倒的に感じるのかもしれない。今の、あのセシリーですら打ちのめす、絶望感。
今回、ページ数的にはけっこう薄かったように思うのですが、そう感じさせない内容の濃さは、さすがと言っていいかも。

アニメ化を控えて、増産体制に入ってるのかもしれないけど、このクオリティでどんどん出してくれるのなら、どんどんやってくれってなもんだ。