身代わり伯爵の失恋 (角川ビーンズ文庫)

【身代わり伯爵の失恋】 清家未森/ねぎししょうこ ビーンズ文庫

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走り出したら止まらなさすぎにもほどがあるわーーーーっ!
なんかねー、ミレーユ見てたらあれ思い出した。チョロQ。ゼンマイが切れるまで、絶対に止まらない突進性。壁にぶちあたっても、すぐさま方向を変えて全力疾走。一瞬たりとも止まらねえぜ! という落ち着きのなさ。
止まったら死ぬのか、おまえさんは。

もうね、こうなってくるとリヒャーがかわいそうになってきたわ(笑
あれだけ危険だからと必死に遠ざけよう遠ざけようとしてた時には、あのわけのわからないすさまじいまでの行動力で、逃げても逃げても追いかけてくるし、追い払おうとしても無茶苦茶な手段でかかわってくるし、あげくにおらおらてめえらあたしのリヒャルトになにしやがんだー、とばかりに敵対勢力に喧嘩売るし。腹の減ったオオカミさんの前にあたしを食べてーとばかりにお腹見せて横たわる兎さんみたいに、無自覚にデレまくるしで、とまあ、子犬が足元でじゃれつく、とは程遠い、なんか大型犬か、むしろトラみたいな巨大な猛獣が圧し掛かってくるような勢いで追いかけてきていたのが、いざリヒャルトが切れて開き直って、もうたまらん好きですだー! と本気で告白してどんなお馬鹿でも疑いの余地がないほど気持ちを伝え切り、もう離さない遠ざけない何があろうとも一緒にいてください! と受け止め抱きしめようとした途端……今度は全力疾走で逃げだされたこの唖然茫然の境地。
もうなんか、笑えてきたわい!!
リヒャルトからすれば、「なんでーっ!?」だよなあ、これは。
ミレーユからすると、その行動原理はリヒャルトのため、という一点で一貫しているし、今回ようやく自分のリヒャルトへの想いが恋によるものだと自覚したにも関わらず、自分の想いは脇に置き、とにかくリヒャルトの助けになりたい、とする健気さは、実に女の子らしいかわいらしさにあふれていると思うんだけど……この娘の場合、その女の子らしさの発露が、「うおおおおおお!」という擬音だか雄叫びだかが聞こえてきそうな勢いでの全力疾走、暴発的な行動力に転化してしまってるのが、もうたまらんのよねえ、色々な意味で。
何気に彼女なりによく考え、それなりに真っ当なロジックのもとで行動しているだけにたちが悪い。なんか、考えてたら暴走というより、単純にスピード違反と一時停止違反なだけな気もしてきた。……いやいや、やっぱり暴走じゃないか、それは(w
もういっそ首に縄をつけるか、檻にでも入れてしまったらどうだ、とすら思うんだけど、そうなればなったで当たり前のように縄引きちぎるわ、檻破るわしそうで、全然安心できなさそうだなあ。
リヒャルトも、難儀な娘に惚れたもんだ。正直このロケット娘をどう捕まえておけるのか、想像もできん。両想いであることを認め合ったらうまくいくと思い込んでいただけに、止まらないミレーユの爆走にこっちも唖然茫然だったよ。いいから、ちょっとでいいからその場に立ちどまって云うこと聞いてくれー(苦笑

ギルバートの正体も明らかになり、シアラン宮廷陰謀劇も一気にリヒャルト側によって打開を迎えるかと思ったけど、着々とリヒャーが足場を固めて包囲網を構築していく一方で、相変わらずの偽王の不気味さと、ウォルター伯爵の狂気があらわとなり、一筋縄ではいかない様子。というより、真相が明らかになるにつれて、単純だった構図が混迷を深めてきた感があるよなあ。ミレーユの行動は、その混迷の霧を吹き飛ばすことになるのか、それともより事態を混乱させる方向に向かうのか。
どちらにせよ、リヒャルトの苦労は続くわけだ。ばかだなあこいつ、遠慮なんかしてないで、もう押し倒してしまえばよかったのに。我慢できないできないと言いつつ、意思決定を彼女のほうに預けるからそうなる。ミレーユに対抗するには、同じくらいの勢いで押して押して押しまくるしかないだろう?w
彼の攻勢は、並みのヒロインならひっくり返って後頭部打ってしまいかねない十分な勢い、積極性、問答無用さでしたけど、それでもなお、一瞬たりとも止まらないミレーユには足りなかったということだな。
どれだけだよ、いったい(苦笑