さよならの次にくる <卒業式編> (創元推理文庫)

【さよならの次にくる<卒業式編>】 似鳥鶏/toi8 創元推理文庫

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続編なんてたぶんなさそうだぜ、と勝手にガッカリしてたら、出てくれましたよ、続編!
というわけで、学園青春ミステリー【理由あって冬に出る】の続編、ここに登場。しっかりと前作のキャラクターたちも登場しての日常ミステリー第二弾。前回のわりと大きかった事件を取り扱ったのとは違って、今回は短編集でした。
表紙絵はおそらく前作と同じキャラクター。あの眼鏡っこは誰なんだ!? と話題になりましたけど、今回まともに出ずっぱりだった女性キャラクターが柳瀬先輩だけだったのを考えると、やっぱりこの眼鏡さんは柳瀬先輩だということで間違いないかと。黙っていればモデル並みの美人だけれど、しゃべりだすとお笑い芸人にしか見えない容貌って、云い得て妙だなw
ちゃっかり、作中での重要なキーワードとなるラブレターを握られてるし。葉山くんの慌てふためきっぷりが、話を読んだ後に表紙を見直すと笑えてくる。
葉山くんはもうちょっと恋愛ごととか女の子に対して淡白な方なのかと思ってたけど、初恋の人に対して案外積極的にもう一度会いたいなー、と友人ミノに唆されたとはいえひょいひょい乗ってしまうあたりは、健全な思春期の少年らしくて、浮ついてやがるなこの野郎(笑
しかも、ちゃっかりイイところ見せようなんて欲目かいてるし。この辺読んでると、葉山くんって普通に女の子と付き合いてーとか思ってる男の子なのに、なんで柳瀬先輩には反応しないんだろうねえ、とか思っちゃうんだけど、これは柳瀬先輩の迷彩っぷりがよほど奇矯だからなんだろうか。この先輩、葉山くんのことは好きは好きでも特に付き合いたいとかはおもってないっぽいのよね。伊神先輩とはまた別の意味で、変な人なんだよなあ。
その点、ミノは実に普通らしくて、好きだなあ。どこが好きって、女の子目当てで演劇の手伝いに手を挙げたくせに、いざ肝心な時になると女の子そっちのけで裏方仕事に夢中になってるあたり。めちゃくちゃ可愛いんだが(笑


伊神さんは、相変わらずの大活躍。この人はいったん動き出すと、あらゆる意味で大活躍し始めるから、大概にして大迷惑だな!(笑
やはり名探偵というのはこれくらい尊大で周りの目を気にしないとやってられないのかもしれない。これで気配りもできる男なのが皮肉じゃないか。
卒業式の話も面白かったけど、この人は学校という頚木から解き放たれてしまったあとは、いったいどこまで行ってしまうんだろう。謎を追い求め次々と解き放っていくこの人こそ、謎そのものの人物なんだよなあ。
一旦、それを明かしてしまうとなーんだってことなんだけど、普通にその足跡を追いかけると、実に謎めいた事実だけが残されているように見えてしまう、というのはやっぱり面白い。
とびっきりの変人だわ。
それはそれとして、その足跡をいちいち追いかけてしまう葉山くんって、考えてみると行動力だけはものすごいんだよなあ。あんまりそういうイメージないんだけど、ラブレター事件の時といい、脅迫状の一件での時といい、消えた伊神さんを追いかけたときといい、冷静に考えるとわけのわからないほどの行動力を見せてるんですよね。これは目立たないけど稀有な才能、能力なのかも。
いいところ伊神さんに掻っ攫われてばかりの葉山くんですけど、なんだかんだと事件を見つけてかかわり、その中枢に食い込んでいくのはいつも葉山くんなわけで、その意味では伊神さんが卒業してしまった後でも、なんらの不安なく事件は彼を中心に起こっていくのかも。いや、解決するかどうかは定かではないけどw
柳瀬先輩はいちいち付き合ってくれそうだけど、周りでわーわー楽しそうにはしゃいでいるだけで、真相解明の手伝い、頭脳労働はしてくれなさそうだしなあ(苦笑

今月末には速攻で<新学期編>も出るようだし、伊神さん亡きあと(笑)のこの話がどう展開するか、なにより柳瀬先輩とのラブ寄せはあるのか、そもそもあの幕間話はなんだったのか、そのへん楽しみに待ちたいところ。