ベン・トー 4 (集英社スーパーダッシュ文庫 あ 9-6)

【ベン・トー 4.花火ちらし寿司弁当305円】 アサウラ/柴乃櫂人 スーパーダッシュ文庫

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みんな、気づいているか!?
一巻からこっち、弁当の値段が五円ずつUPしているという事実に!!

……だからそれがなんだ、と言われると、いえべつに、と返答する他ないのだけれどね。


夏休みに入り、強化合宿を行うことになったHP同好会。槍水先輩、佐藤に白粉の三人に加え、合宿の後半からはあやめも参加する、お泊り会。
けっこう気合の入った槍水先輩のエロカッコいい私服姿も相まって、やたら佐藤がテンションあがってるのが笑える笑える。
佐藤ちん、槍水先輩のことエロい目で見すぎだって。熱中しすぎだっての。もう、まるで槍水先輩を視姦するのが目的かと思うくらいに、舐めまわすように見る見る見る。……こいつ、やっぱり変態だな。

と、その合宿と称した遠征に行くまでの冒頭ですでに飛ばす飛ばす。駅での列車の停車時間中に駅弁を急いで買いに行く、というシチュエーションは、それ自体はよくあるだろうけどさ。違うホームにある売店まで往復一分半で行って帰るって、ねえよ!!(笑
最近、スーパーでのあり得ない激闘にも感覚がなれてしまってて、たかが弁当争奪戦で、天井に着地したりカートを片手で振り回したり、というアクションにそれほど違和感を感じなくなってしまっていたのだけれど、そういえばあれって、ねえよ! っていうアクションだったな!
でもやっぱり、一分半はシビアすぎるよ! っていうか、普通に行き来したら6分くらいのところ一分半て!
とりあえず、レッドに対する当人と他の連中との認識の差に笑ってしまった。可哀想にw


この強化合宿自体は、HP同好会の恒例行事だったらしい。夏休みのこの時期、そこは花火大会時の特別弁当の仕出しもあって、他の土地からも名うての狼たちが集まってくる狩猟場となっており、ここでの戦いぶりが二つ名を広めることになるという。かの【魔導師】もまた、かつてこの地で名望を高めた一人なのだそうだ。
半額の弁当を手に入れるために、わざわざ遠隔地にまで遠出してくるという時点で、通常の感覚では本末転倒なんだけどなw ただし、それは闘争を求める狼の論理にあらず。真の美味を得るためには、闘争を経るしかなし。彼らは半額の弁当を求めているわけではなく、うまい弁当を求めている、と考えれば、その志向も理解できるか。
とはいえ、そこでは元の街では会う事のない、かつてここでHP部と戦った猛者たちとの遭遇もあり、佐藤たちの知らない槍水先輩の姿、そして過去のHPの栄光も垣間見えることとなる。
あえて、槍水先輩は口を閉ざしているけれど、HPの過去にはどうやら大きな事件があったみたいなんだな。
前巻からチラチラと描かれていた、槍水先輩の素顔。普段のクールで鋭角的なスタイリッシュな頼りがいのある先輩としての姿とは裏腹の、どこかあどけなく柔らかく大人しげな少女としての槍水仙。元々の彼女って、実はかなり大人しい引っ込み思案で内向的な少女だったんじゃないだろうか。縁日ではぐれかかったときの、オロオロと不安げに慌てる姿や、オバケが全然ダメだったり、お風呂であやめに弄られてる時のものすごい受け身の姿勢とか、今の性格が作ってるとは言わないけど、それなりに変えようとして変えたものだったんじゃないだろうか。あの化粧なんかも、意図的だったわけだし。
かつてのHPの先輩たちを狩り、現役から追い落としたという氷結の魔女の行状の真相とは。いずれ、近いうちにHPと槍水先輩の過去にスポットを当てたエピソードがきそうな雰囲気である。

そして後半は、真打ち著莪あやめが登場。
今回のゲストである禊萩真希乃と淡雪えりかという中学生の少女二人の関係と照らし合わせるように、あやめと佐藤の関係にも改めて焦点があてられてたな。
傍若無人で自由気儘なあやめだけど、その彼女がこの二人のすれ違いに、自分と佐藤の過去の諍いを思い起こして、これだけ肩入れしてしまう、というのはそれだけ彼女が佐藤との関係を意識して特別視してるってことなんだよなあ。

相変わらず、佐藤とあやめのスキンシップは常軌を逸している。これはもう、家族的とすら言えないよなあ。
高校生にもなって、普通にあやめが佐藤の住処に泊まりに来る(独り暮らしだぜ)という時点であれなんだが、泊まった時基本的に同じベッドで一緒に寝る、しかもだいたい抱き合って、てのが普通って……どうなんだ?
しかも、寝る時彼女の髪が濡れてるとえらいことになるから、と佐藤が習慣的に風呂上がりには、あやめの髪をドライヤーで乾かして梳かしてる、とかさ。
どんなイチャイチャカップルだよ、と思いたくなるところなんだけど、こいつらそういう意識なくて、ほんとに習慣的にやってやがるからなあ。変にエロいくせに、恋愛臭がまるでしなくて、読んでるこっちはなんか酔っ払ってくるよ。
恐ろしいのは、佐藤はまるであやめに対して女性の性を感じていないように見えるところか。少なくとも欲情らしきものは一切していない。先輩に対してはあれほどエロい目で見ているくせに。興奮しているくせに。
でも、あやめを女と思ってない、というにはどうにも自分たちのスキンシップが他人の目にはどう映るかは分かっている気配もあるんだな、これが。あの火傷に唾つけるシーンなんか見るとね。一応、周りの目、気にしてるわけだし。
いや、しかし口の中を火傷した部分を舌で舐めまわすのは、キスとどう違うんだろう……いや、でも確かにこれ、キスじゃないんだよなあ。参るよなあ。
この二人は、お互いに不可欠、隣にいるのが当たり前、という関係なんだけど、それぞれ互いの関係について少し見ている光景は違うのかもしれない。

なんにせよ、あれだけの戦いを見せたんだから、佐藤もそろそろ本格的に二つ名がついてもおかしくなさそうなんだがなあ。アレ以外でw


しかし、毎回毎回佐藤父のエピソードは気が狂ってる。あの親父は、そもそも人間なのか? なんなんだ? 
ここまで大人げの一切ない大人って、見たことないんだがw
この男が普通に働いて普通に収入を得ている姿がまるで想像できないんだ。
その上、今回は母親もそうとうキてしまっている残念な人間だということが発覚してしまい、……その、なんだ。佐藤は、まあ、よくまともに育った方だったんだな。こいつ、バカだけど、真人間だもんな。