カンピオーネ!〈4〉英雄と王 (集英社スーパーダッシュ文庫)

【カンピオーネ! 4.英雄と王】 丈月城/シコルスキー スーパーダッシュ文庫

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 bk1

チュッチュッ、ペロペロ、クチュクチュ、ぴちゃぴちゃ。

もう、……あんたたち、キスがエロすぎ!! いや、マジで、本気でエロいんだから、辛抱たまらん!!
あくまでキスというのは魔術の類いが極端に効きにくいカンピオーネたる護堂に対して、知識を教授する魔術を体内に送り込むための手段なのだが、護堂が有する権能のうちの最強の力である【剣】を起動させるためには、もはや必須の手段である以上、それは決して避けえない行為であるからして、あらゆる状況が護堂とリリアナをキスせざるを得ない状況へと追い込んでいくのである!!
以前の万理谷の時は、緊急事態ということもあり、半ば突発的な行為だったわけだが、今回のリリアナの場合はペルセウスとの決闘がリミット付きで予定されている状況であり、なおかつ他の教授を行える人材たるエリカや万理谷が近くにいないというありさま。
もはや、護堂が勝つためにはリリアナとキスしなければならない! という決定的事実が罷り通ることに。
……勝つためにキスしなきゃなんないなんていうたわけた状況をこうも真剣に、深刻に、ナチュラルに構築してしまうこの作品の構造には、戦慄すら覚えるな!!

しかし、リリアナさんはまた、ちょろかったな(笑
この人、初登場の際は毅然としていて自分の中にしっかりとした規律と芯を持った騎士らしい騎士だと思ってたんだが……エリカにからかわれてしまう人、という時点で理解しておくべきだったのかもしれない。それとも、エリカとのキスを興味津津に凝視していたのを思い出しておくべきだったのかもしれない。
なんという、夢見がちな乙女だw
この人、潔癖というよりただ単に男に免疫ないだけじゃん。しかも、わりと恋だの彼氏なのに浮ついた幻想抱いてるし、恋に恋する妄想少女だしw
これまで、ヴォバンだのドニだのといった人間性に問題のありすぎる連中にしか関わってこれなかったせいで、護堂の真人間な言動に簡単にコロッと言っちゃってまあ。仲間の魔女連中にも簡単に煽られて、即座にグラついてしまうあたり、相当チョロい。
しかも、清純派を気取ってるくせに、ハマるとどこまでもハマるタイプである。完全に陥落したあとの、特にキスを迫るシーンでのメロメロ、デレデレっぷりを見ると、本当にひどいw

あーあ、ほらみてみろ。エリカ嬢、余裕ぶっこいで護堂で遊んでたから、予定外の手合いが護堂に引っかかっちゃったぞ。まー、予定外とはいえ、所詮リリィもエリカの手の内でいいように転がされちゃうタイプの人だから致命的とは言えないけれど。
でも、そろそろ真正面から叩き潰して護堂の心を掌握する方法を改めて、手段を選ばず護堂を陥落させる方策をとらないと、色々と面倒なことになってきちゃうぜ。確かに、今のところ正妻の座は揺るぎなさそうだけど。
護堂も、肝心なところで、エリカがいれば問題ないのに、とか思っちゃってるからなあ。エリカが本命で間違いないんだろう。まあ、それにエリカが安心しちゃってたから、こういう問題が出てきてしまったわけだが。

というかね、護堂もいい加減ぐだぐだ言ってないでさ、風評通りに食っちゃえばいいのに、と思えてきたよ。カンピオーネとしての権利として、彼女らをお手つきにすることは、それこそ彼女本人たちが認めてるわけなんだからさ。まあ、彼が作中で言っているように、王の権限に逆上せないようにしている以上、向こうから云い寄ってきたからと言って手をつけることは絶対に意地でもしないだろうけどね。
だから、何度も言うけど、エリカが王の権利だから云々付け加えず、ストレートに好きです愛してます付き合ってください、って言えば即座に済む話なんですけどねえ。


さて、今回の敵たる<まつろわぬ神>は、ペルセウス。メドゥーサを倒し、美女アンドロメダを海蛇から救ったギリシア神話の英雄である。
毎度ながら、この作品による神話や神の解体には、感嘆させられる。まさか、ペルセウスという英雄にこれほど複雑かつ遠くも広い来歴があったとは。マジで勉強になるわ。
ミトラスって最近どこかで見たなあ、と思ったら【Xの魔王】の主人公じゃないか。あの主人公の由来は、ここから来たんだろうか。

肝心のペルセウスとのバトルシーンも、いつものように<剣>が最後の一撃になるのではなく、これまでのパターンを大きくひっくり返した展開に。うむ、単純にバトルモノとしても思わぬ攻防が繰り広げられて、これが実に面白い。

しかし、この作品での神の在り様というのは、過去、それこそ神代の時代に実在した存在……というのとは、どうにも一線を画しているようだな。ペルセウスの正体なんかを読んでると、その辺はもう確信に近くなってくる。そもそもカンピオーネが誕生する理由、<まつろわぬ神>の降誕のシステム。このへんも、実に興味深い。


今回は、護堂が自分の中の基準、というかカンピオーネとしての自分の在り方について語ってくれたんですよね。巨大な力を得ながら、彼がなぜ力に振り回されず謙虚に在り続けているのか。その理由が彼の口からポロっと語られるのですが……そうか、ウルスラグナとの邂逅は護堂という人間に予想以上に多大な影響を与えていたんだなあ。
かの神格との出会いによって生じた友情と憧憬は、正しく彼の在り方を導いているわけだ。
まあ、女のあしらい方は身に付かなかったみたいだけど。エリカが相手じゃ、土台無理な話かw

そういえば、アテナさんが再登場して護堂さんをこれでもかーと振り回していましたけど、この人も将来的に護堂ハレムに加わっちゃうんだろうかw
神殺しのくせに神をはべらせりゃ、それこそ大したもんだぞw