ラノベ部 3 (MF文庫 J ひ 2-18) (MF文庫J)

【ラノベ部 3】 平坂読/よう太 MF文庫J

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【えむえむっ】の主人公の母と姉を読んで、なんてリアリティのあるキャラなんでしょう、と感心する人は世界的に見ても極々稀なんじゃないだろうか。あってたまるか。
それと、仮名史郎×赤道斎はかなり新しいんじゃないだろうか。啓太×仮名史郎という方向にばかり目が行って、その発想はなかった。

というわけで、ライトノベルを中心として読書を楽しむことそのものを題材としたラノベ部も、この三巻にてすっぱりと終了。
あとがきを読んで納得させられたんだが、確かにこの三巻に入ってラノベネタを中心とするよりも段々とキャラクターそれぞれの物語に話が踏み込みだしているんですよね。
この作品のそもそもの性質を考えるならば、このへんが締め時だったのかもしれないなあ。このラノベ部の面々のお話と言うのは、何かをもって決着するような話ではなかったですしね。その意味でも、恋愛パートがいい具合に煮立ったところですっぱりと終わってくれたことは、恋模様の行方がハッキリせずにモヤモヤするどころか逆に、これで良かったんじゃないか、と思いましたし。

しかし、竹田と美咲の幼なじみ関係、二巻の感想で触れた点がこの三巻ではズバズバと明快に語られてて、なかなか爽快だった。どうやら自分が感じたものはいいところを突いていたみたいだ。もっとも、自分は美咲はもっとドライに構えてると思ってたけれど。振ったあとにそういう事になっていた、というのは意外であると同時に、まあ腑に落ちたともいえるわな。
まー、最後の美咲にとってのひっくりかえるようなしっぺ返しも面白かったけれど、結局のところやっぱり竹田はそこは未練がましくダラダラとチャンスを待つべきだと思うね。隣さえ空席で置いておけば、いずれ向こうからそこに収まりに来るのは、どうやら間違いなさそうだし。ああいう自由気儘独立独歩を気取っている相手は、退路を断つよりも鷹揚に構えて甘えさせておいた方が、最終的に果実をもぎ取れそうなものだ。
そこまで深慮遠望してなくても、待ち続けること自体は竹田くん、できそうですしね。殆どMプレイだけど。
とはいえ、告白に対してハッキリ返事できずにいる点をかんがみれば、ヘタレの称号を返上できそうにないですけど。

それにしても、ラノベ部の部員の関係って俯瞰してみるとえらい錯綜した挙句に倒錯してるのな。綾さんだけか、孤高を爆走してるのはw

結局、ラノベネタは最近のものに終始した感じ。それも、知人中心っぽいし。個人的には古今の名作珍作、無数にあるだろうタイトルを題材にしてほしかったところだけれど、さすがに先達の作品をネタにするのは控えたということなのか。まあ、現実のラノベをネタにして話を作るって、普通に難しいんだろうけど。
でも、まあ楽しかった。読書する楽しさ、という観点を見事に娯楽作品に仕上げた良作でした。