小説版 ガンパレード・マーチ ファンブック ビジュアル&ノベルズ

【小説版 ガンパレード・マーチ ファンブック ビジュアル&ノベルズ】

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これはもう、小説版ガンパレードマーチのファンならば、必読の書と言いきってしまってもいいでしょう。それくらい、内容は充実している。
山口防衛戦から九州奪還戦にかけては、歴史群像顔負けの詳細な戦況分析と緻密な図解が掲載されており、これさえ読めばあれらの激戦の推移が容易に理解でき、具体的なイメージが湧くのではないだろうか。
注目のオリジナルキャラクターの情報も、記事自体は短いながらもこれはかなり充実していると言ってもいいんじゃないだろうか。作者:榊涼介氏によるコメントも製作者ならではのキャラメイキング秘話がチョロチョロっと載ってて、何気に嬉しい。さらに、文庫の口絵だと基本制服の上半身だけのビジュアルだったのが、こちらでは私服姿で全身像が描かれているので、けっこうイメージ変わった人もちらほら。前園少尉なんて、やたらキレキレの美人に仕上がってるし。島さんや橘なんか、かなりしっとりした美人だし。特に島ゆかりなんか、衣装とか立ち姿とかかなり気合入ってないか、これ? さらに、なんかオナベにしか見えなかった石丸隊長は、こうして全体像を見ると、しっかりと女性に見える不思議。これはアスリートタイプの美人だな。このスポーティーな装いは大正解だったんじゃないだろうか。何気にスタイル抜群なのが一目でわかるし。
意外にも、男連中がこれまたシブかったり、イケめんだったりと何気にみんなかっこいいんだ。鈴木は全然ダメだったけどな(笑

そしてなにより必読対象なのが、九州奪還後を描いた短編7編。
こうして東京観光を楽しむカーミラを見ると、ほんと彼女いい方向に変わったなあ、と実感される。前はもっと陰惨な雰囲気を漂わせていたのに、今は王としての気構えと同時に見た目相応の無邪気で奔放な少女の顔をさらけ出していて、非常に魅力的な存在になっている。なんだかんだと舞たちとの関係も良好で、お互い信頼と、今となっては友諠と呼んでも過言ではないものを結んでいる。
今後、さらに榊ガンパレ、続くみたいな話もしているし、その場合は東京を舞台にクーデターだ! みたいなやたら具体的な話も出てきてるわけだけど、そうなるとカーミラの微妙な立場と、それを守る舞たち5121小隊という、今回の短編【幻獣王の休日】は、先のモデルケースであると同時に発端とも言うべきエピソードになるのかもしれない。
それはそうと、突撃レポーターの桜咲レイちゃん。マジで箕田の野郎といい感じなのかよ。レイちゃん虎ちゃんって……。でも、このレイちゃんも登場時からすると、実に気合の入った素晴らしい報道マンになったよなあ。人気も出てきてるし、今回の一件では大スクープもものにしてるし。見る目もあれば、勇気もある。さらに素直でイイ子ときたら、この子とコネクション持ててるのは、5121小隊としても将来的に大きなアドバンテージになるのかもね。


さて、九州奪還終了時、先々えらいことになりそうだった橋爪軍曹。同居している飯島リサに加えて、斎藤弓子にまで見初められた挙句に、押しかけられそうになってるところで終ってたんで、こいつらどうなるんだろう、とやきもきしてたら、ちゃんと書いてくれましたよ(笑
しかも、なんでか合田さんの方まで。というか、こっちの方がキツそうじゃないかw いい雰囲気だった橘に、野球部時代のマネージャーが現れて、凄まじい修羅場に。修羅場にw 確かに、こちらに比べれば橋爪くんの方は牧歌的だわ。飯島ちゃんみたいなタイプ相手だと、斎藤みたいな子は変に強く出れないんだよなあ。
なんだかんだで、うまく収めてしまうあたり、やっぱり橋爪は大した野郎なのかもしれない。その彼が恩人と慕い、尊敬する合田さん……いや、橋爪くんの方笑ってる場合じゃないでしょう、あんたw
ただ、確かに橋爪が訴えるように、この人はそろそろ前線から下がって上を目指すべきなんだろうな。<政治>は性格的に好きではなさそうだけど、この人の場合やろうと思えばかなりこなせそうなんですよね。あまりすれてない善行、というタイプかしら。上からは可愛がられ、下からは慕われ、同輩からは担がれて、というライプにも見えるし、この人ならばかなり出世しそう。


戦争が終わった後。平和が訪れました、めでたしめでたし、で済めば万事が万事簡単なんだろうけれど、世の中そうそう単純に事が回るわけでもなく、むしろ戦争中には問題にならなかったことが浮かび上がってくるのが、戦後というやつで。
戦場神経症というのも、たとえばベトナム戦争後の帰還兵の精神障害が問題になったように、重大な戦後の(戦中でもむろん発生しまくってるわけですが)問題となってくるわけです。こういうテーマについてもしっかり書いてくる、この小説版ガンパレは、改めて凄いなあと感心するばかり。しかも、それを発症してしまうのは予想もしないあの人で。ここでの前園少尉の精神面も、なかなか興味深いものなんですよね。彼女のそれも、一種のPTSDなんだろうけど。
このエピソードでの箕田は、実にナイスでした。この子、本編だとあんまり印象強くなかったんだけど、この短編集には二話分登場してるし、ずいぶん株上げて名前売ったな。しかし、この話をこういう風に転がすかー。思わぬ展開に、ニヤニヤが止まらんw


そして、著者はこれこそを書きたかったんじゃないかという【試験の副産物】。うわーーー、せつねー。なんてせつないお話。でも、あのまま別れたままというのに比べれば、この再会は福音と言っても良かったんじゃないでしょうか。二人の会話が、とにかくせつない。
しかし、ウィチタ更紗はマジで鬼だな。


まだ確定ではないものの、芝村・榊両氏の会談や、ちょこちょこ書いてある内容を見る限り、おそらくかなり高い確率で続きは出そうな感じ。氏の中では既に構想も立ち上がってるみたいだし。なにより、ここまで育ったものをここで放り投げるのは勿体なすぎるよな。
うふふ、やはり楽しみすぎる。首を長くして待つことにします。いや、それにしても大満足のファンブックだった。ファンブックでここまで充足感を満たしてくれた代物にはとんと覚えがない。2100円、全然高くなかったさ。