蒼海ガールズ! (GA文庫)

【蒼海ガールズ!】 白鳥士郎/やすゆき GA文庫

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半年無寄港航海し続けて上陸休暇無しって、それ確実に叛乱起きますって艦長!!(笑
これって作者の趣味なのかな? 女だらけの軍船に今流行りの男の娘が漂流中に拾われて、艦長の指示で性別を隠してもぐりこむことになるわけですけど、この軍船の描写がえらい本格的。おそらくはナポレオン時代前後の18世紀モデル。有名な海洋冒険ロマン<ボライソー>や<ホンブロワー>シリーズ。映画で言うならかの傑作<マスター・アンド・コマンダー>を彷彿とさせる、ものすごく詳細で本格的な帆式軍船での制度、生活、戦闘描写がこれでもか専門用語を駆使してつぎ込まれている。
自分もけっこう、ライトノベルの類いは読んでると思うけど、これほど本格的に帆船について書いてる作品はちょっと記憶にない。思い浮かぶ限りではコバルト文庫の【流血女神伝】の外伝にあたる【天気晴朗なれど波高し】だけど、あれは人物描写中心というのもあって、ここまで細かい何気ない部分までさりげなく突っ込んで書いてはいなかったはず。
いや、しかしこの時代の帆船同士の海戦をよく描いたなあ。
漫画雑誌【アワーズ】で【ナポレオン 獅子の時代】で、あの【ナイルの海戦】の回を読んでる人はよくわかると思うけど、これ、滅茶苦茶エグい、グロい阿鼻叫喚の有り様になるんですよね。
実際、この作品でもうまいこと描写は抑えているけど、葡萄弾ぶっ放して挽き肉製作してるし、味方でも指が二、三本吹っ飛んでるような話もしてることだし、相当グロいことになってるはず。
ただ、それ以上に多対一での帆船同士の海戦描写が実にスリルと迫力、そして痛快感があってお見事。
海洋国家の本物の軍船と、大陸国家の急造艦隊との格の違いが鮮やかに描かれてるんですよね。
鍛え上げられた船員の練度と、艦長の明敏な指揮によって軽やかに敵船うごめく海上を咆哮をあげながら軽やかに駆け抜けるフリゲート【ビシャスホース】。
この海戦の部分なんか特に映像で見たいぐらい興奮したね。これ、実際に映像化したらすごいぞー!
元々、【マスター・アンド・コマンダー】を手放しかつ大喜びで賛美する類いの、でも俄かの知識しかない人間なので、こうも凝った本格的な帆船モノを差し出されては、大はしゃぎするしかないんですけどね(苦笑
いや、でも面白かった。楽しかった。もっと読みたい。

とまあ、そっちにばっかり気が行ってはしゃいでしまって、肝心の話の内容やキャラクターについてはそっちのけになってしまったけど、その点は【らじかるエレメント】を書いてた人、ということで十分でしょう。まあ、あれほどキャラの性格も行動もフリーダムではないけれど。
でも、さすがに続きは出ないかなあ(苦笑