ちょコワ、いかがでしょう?  ほんとにあった、ちょいコワ奇譚集 (富士見ファンタジア文庫 み 3-1-1)

【ちょコワ、いかがでしょう? ほんとにあった、ちょいコワ奇譚集】 水城正太郎/中条花月 富士見ファンタジア文庫

Amazon
 bk1

全然ちょいコワじゃないじゃん!!

元々怪談とか怖い話系が大の苦手のわたくし様。だって怖いんだもん! 怖いじゃん! 
今でこそ平気だけど(当たり前だ)、幼い頃は自宅の二階にあがるのさえ恐ろしかった生粋の臆病モノ。怖いもの見たさなんて感覚はひとかけらも持ち合わせていない、怖いものなんか避けて通って目をそむけて耳をふさいで、あああああーーー(知らない見えない聞きたくない)をひたすら地で行く敢然たる怖がりなのである。
そんな私がこんなものを買ってしまったのは、ひたすらに<ちょいコワ>なんてぬるさが輝いて見えるような単語がタイトルにへばりついていたからである。
この大嘘つきめ!
てっきり、てっきりちょっとした怖い話系の小話を面白おかしくコメディ調の四方山話的にダラダラと語ってキャッキャウフフなささやかなラブコメ展開も挟みつつ、なんとなく人情話っぽい締めで終るような、健やかな話かと思って手にとってしまったんだよ!
……って、自分でもどうかと思うくらいに盛大な思い込みだな、おい。
でも、ちょいコワ、なんて小萌えっぽくタイトルついてたら、そんな風に思うじゃないのよ。まあ、自分ほど勝手に想像をめぐらす人も珍しかろうが。

とにかく、中身はといえばどこがちょいコワだよ! と俺様半泣きになるくらいに、マジな怪談集。怪談集というより、実録本? この作品の著者である水城氏が怪談本を出すことになり、担当になったアルバイトの少女とネタを探しながら、手持ちの小話を開陳しながら蒐集取材を続けていくうちに、なんだか妙なことになってきて……という、現実とフィクションの境界線が曖昧になってくるようなうすら寒さが背筋をベロベロと舐めてくる、マジコワ話である。
悔しいんだけど、これ一つの話としても構成べらぼうにハマってて、面白いかったんだわ。アルバイトの女の子が持ち込んできた話が、いろんな怪談話や不気味な現実の事件と妙な関連性が生まれ始めて、という展開も嫌な感じに流れが自然で、もうほんとにね、自分苦手なんですよ、怪談とか。怖い話とか。繰り返してるな。でも、それなのに面白かったのが、妙に悔しい。
これがあの有名なアレか。
「悔しい! でも感じちゃう!」みたいな?

とりあえず、納得いかないのが主人公の水城氏のイラストのビジュアルが超イケメンのハンサムくんというところだな。いや、別に納得いかないとかホントはないんだけど。でも、本人、妙に恥ずかしい気持ちとかなかったのかな、これ(笑
でも、水城氏の行動は何気にかっこいいんですよね。「彼女を助けに行く!」とか、素で言っちゃえるのはもうカッコいいとしか。ホントに普通の人で、むしろなんか淡白なくらいのキャラクターなのに、いやだからこそか、けっこう「おお!」と盛り上がった。
これはあれか、イケメンだから言動もカッコいいのか、言動がカッコいいからイケメンなのか。

とりあえず、もう騙されない。ちょいコワとか信じない。そう決めた。……でも、面白かったんだよなあ。続編みたいなものがもし出るとしたら、かなり真剣に悩む事になると思う。
くそぅ、これがかの有名な怖いもの見たさか。じゃないよな。怖いから見たいんじゃないもんな。面白いから見たいんであって。