空ろの箱と零のマリア〈2〉 (電撃文庫)

【空ろの箱と零のマリア 2】 御影瑛路/鉄雄 電撃文庫

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相変わらず、見事すぎるくらい見事すぎる脚本構成である。文章の仕立て方も巧妙で、上手い事迷彩をかけてくる。後から考えると、なんでこんなに簡単なことに気付かなかったんだ? と自分でも不思議に思うくらい犯人の正体に思い至らなかったもんなあ。知らない間にズリズリと認識をずらされ、ミスリードされてたわけだ。
犯人が分かってからも、分かったからと言って事態は解決せず止められず、タイムリミットは近づいてくるので緊張感は途切れることなく、むしろ対決色が強まり、主人公側の反撃もありで、かなりのスリルで楽しませてもらった。
解決編に至ってからも、二転三転真相を引っ繰り返されて、何度も驚かされたし。
自分はこの著者のこのシリーズ以外の本は読んでいないのだけれど、前巻の他の方の感想を読むとだいぶエンターテイメント色が強まり、ライトノベルらしくなった、と言及している人が多かったのだが、この二巻は一巻にも増してその傾向が強くなってたんじゃないだろうか。
特に、前巻の繰り返す時間の中でマリアとの間で培われた絆の強さと信頼感の深さ(と言っても、当初主人公はマリアと比べて絆の実感を喪っているのだが)は、この事件を解決するのに強力な武器となり、マリアの存在の頼もしさと言ったら大きすぎるくらい(その絶大な絆の強さを逆手にとって犯人側から反撃されたりもするのだが)。

ここまで心を預けている相手である主人公とマリアとの間に、甘酸っぱい感情が芽生えるのは、とても普通な事だと思うんだけど。というか、マリアの態度見てると明らかに愛情と言っても過言ではない感情が垣間見えるんですけど、彼女はそれを頑なに否定し、あってはならない事だと拒絶してるんですよね。それは、彼女が自分を人間ではなく箱だと規定しているからなんだろうけど、そのあり方は苦しいものだし、Oとの対決に際しても決してプラスにも正解にもならないものだと思うんだがなあ。主人公の説得に感じるものがあり、自らの箱を使用することを止めたことを見ると、彼女の自分の可能性に対する姿勢については、まだ望みがありそうなんだと、信じたいところだが。
でも、一生分の時間を共に過ごして、中身が入れ替わったことを瞬時に判別できるくらい彼の事を見続けて、それでも愛想が尽きる事も飽きることもなく、心の拠り所とし続けられるのは、凄いよなあ。
まあ、殆ど敵対状態だったわけだけどw つまりあれか、ほぼ一生分のツンを費やし切り、今はようやくのデレパートに首までドップリ浸かってるということか。サイクル長すぎだなー。しかも、深い部分であれだけ繋がっていても、表層面では本気でバッサリ割り切られてるし。難儀なことだ。
しかし、何度読みなおしてもマリアが年下で下級生というのは、なんか物凄い違和感、というよりも倒錯感ですな!!