聖剣の刀鍛冶 #7 (MF文庫 J み 1-15)

【聖剣の刀鍛冶(ブラックスミス) 7.Unrivaled】 三浦勇雄/屡那 MF文庫J

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今回これ、僅か229ページしかないんですよね。前巻も、230ページちょいだったから、けっこう薄めなんですよね、このシリーズ。
だから、毎回びっくりさせられてしまうのです。読み終わったあとに、「え? こんなに薄かったの!?」と驚かされてしまう。読了後の充足感、満足感、読破したあとの心地よい疲労感が、とてもじゃないが200ページやそこらのペラペラな感じじゃないんですよ。まずもって倍、およそ400ページや500ページ強はあろうかという分厚くも読み応えのある本を読み終わったような感覚に酩酊させられるわけです。
全編にわたっての全力疾走。息をつく暇のない怒涛の展開。最後まで気の抜けない、燃え上がるようなストーリー。とにかく密度がハンパない。
熱い、もう滅茶苦茶に熱い。セシリーが、ルークが、リサが、ゼノビアが、出てくる人みんなが熱い。名もなき市民の一人に至るまで、滾るように恐れも絶望も薙ぎ払い、意地と負けん気を奮い立たせる。

前巻のラスト、あまりの絶望的展開に、最善を尽くした末に叩き潰され、希望も何もかも失ったかのように見えた展開に、地獄のような有り様に、これはもうどうしようもないんじゃないかと。独立自由都市は此処で滅びてしまうんじゃないのかと、物語の流れの中でそういう顛末になってしまうのかと思ってしまったものだけど。
なんの作品だったかな。こんな名言があったんだ。
「絶望の先にこそ、希望がある」
あの絶望がセシリーの想いとシンクロしていたというのなら、セシリーたちの街。この独立交易都市の底力を。大国の狭間でただ一都市で自由を勝ち取った街の、自由を自分たちの手で勝ち取った市民たちの本当の力を、まったく見縊っていたとしか言いようがない。
人外兵器や悪魔の戦闘特性を考えるなら、野戦でなら軍国の精鋭が蹂躙されたのも無理からぬこと。でも、確かに市民の全面協力を得た市街戦、しかも防衛戦ならこの結果も決して不思議ではないんですよね。リサが考案した対悪魔戦での戦術も、市街戦なら十分活用できますし。
そして、セシリーの強い事強い事。この娘、何時の間にこんなに強くなったんだ? 負ければ負けるほど、叩かれれば叩かれるほど、鍛えれば鍛えるほど、刀のように強くなっていくセシリー・キャンベル。
同僚の騎士団員たちが仰天するのも無理ないよな。この子の成長ぶりは尋常じゃない。これ以上ないくらい痛快無比。
おまけに、アリアとのコンビはもう完全に極まって、互いに互いを補い合う最高の関係に至ってるし。最初の見開き二ページ使った二人の挿絵の威力たるや、もう身体の芯から震えが起こったほど。このシーンは、ちょうど前巻の最後のイラストの対比になるんだろうなあ。そりゃあ力も入るわさ。
そして、ルークとの再会と合流。カッコイイ、もうめちゃくちゃカッコいいよ、この二人は。でも、テンションあがりすぎて、思わずルークのことを「私の男」と公言してしまって、敵を前に赤くなっちゃってる所とか、相変わらずセシリーは可愛いよなあ。可愛いよなあ。
一方でルークはルークで、セシリーのこと、しっかり「俺の女」と言っちゃってるんですけどね。そこまで言うなら、受け入れてやればいいのに。覚悟の方向が間違ってるよ、ほんと。

と、これだけ独立交易都市が本領を発揮したにも関わらず、シーグフリードの狙いは都市を陥落させる所にはなかった、というのが不気味に尽きる。元々正体も目的も不明な所があったけど、今回の一件を通じてさらに得体が知れなくなってきたなあ。

もう盛り上がりっぱなしてテンションどこまで上がっていくのか、天井知らず。この勢いは新章入っても止まりそうにはなさそうです、はい。あー、もうやたらめったら面白かった。