マグノリアの歌姫 (一迅社文庫 アイリス は 1-4 ルーク&レイリア) (一迅社文庫アイリス)

【ルーク&レイリア  マグノリアの歌姫】 葉山透/ひだかなみ 一迅社文庫アイリス

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富士見の【黄昏色の詠使い】でもそうだったんですが、私って主人公たちの親世代、師匠世代のラブロマンスがなんか妙に好きなんですよね。
数年前に亡くなってしまったルークとレイリアの師匠であり伝説的なハンターであったエドと、マグノリアの歌姫として絶大な人気を誇るオペラ歌手イルマーニャの、二十年来のロマンスと亡き想い人との約束。こういうエピソードって、もう好みのドンピシャ中心を射抜かれるんで、たまりません。
二人の馴れ初めであり、内向的で引っ込み思案だった地味な少女が歌を志すきっかけとなった出会い。冒頭で描かれる二人の想い出が瑞々しいばかりに輝いているだけに、本編がそこから二十年以上もの歳月が経った後、というのが思いのほかドンと重く、尊く響いてくるんですよね。
片割れであるエドが亡くなっているから、尚更に。
二十年後のイルマーニャという人がまた、歌姫としての名声を得て知らぬ人のない有名人になったにも関わらず、おっとりとして天然でとても愛嬌のある可愛らしい大人の女性になっていて、その彼女が二十年以上に及ぶエドとの交流と想い出を大事に抱えているからこそ、また尚更に。

まー、それにしてもこのイルマーニャさんは面白い人だなー。思いっきり惚けた人品や、生活能力皆無の有り様には笑うやら著名人のくせにやたらと親しみやすいやら。この人、エドに歌姫への道を示されてなかったら、ほんとにどんな人生歩んだんだろう。ここまで不器用だと、まともな仕事にありつけたかどうか。結構恐ろしくもあるw

さて、話の方は、イルマーニャがエドとの約束を叶えるために、彼が解明できなかったというマグノリアの塔の謎を、レイリアとルークに依頼する、という展開。
毎度ながら、このシリーズ。伝説や神話によって伝えられる話から、秘められた謎を解明し、寓意から現実的な仕掛けや出来事を発見し導きだしていく手法は、非常にお見事と言っていい。さすがは元は富士見ミステリー文庫から出ていただけある。というか、あのレーベルの中ではかなりしっかりとミステリーしてたんだよな、このシリーズ。
今回もマグノリアの塔に残された翼人伝説の正体と謎が、イルマーニャ引退公演の舞台劇で起こった事件と重なって、それを解明していくという展開に。
これ、ミステリー文庫から一迅社アイリスに移ってから初めての書き下ろしとなるんだけど、なんだかんだとミステリーやってるんですよね(笑

ヘボン様をはじめとして、イルマーニャ、演出家のおっちゃんにパトロンの領主さまと、キャラクターもやたら濃くて、この人らがバタバタと動き回ってるだけでも面白かったなあ。ハッキリ言って、9Sによりもこっちのシリーズの方がいろんなキャラが立ってる気がする。
特に領主さまには驚かされっぱなしでしたよ。初登場時の印象が、事件が進むたびにガラガラと崩れて引っ繰り返されていく始末。いや、あんなろくでもないプライドばっか高くて頭悪そうなバカ貴族そのものの現れ方して、あれは想像できんよ(笑

そして肝心の主人公とヒロインであるルークとレイリアのロマンスだけど……ルークは本来強かで抜け目なくどことなく皮肉屋な感じのするキャラに見えるんだけど、レイリアに対してはおっそろしく純情一途なんだよなあ。カワイイっちゃかわいいんだけど、少々ヘタレ気味w
でも、今回に関してはヘタレは返上ですよ。レイリアの危機に対して、あそこまで必死に、一生懸命に駆けずりまわって、どれだけレイリアの事好きなんですか、と。こいつ、こんなあからさまなくせに、なんで面と向かって言えないんだ?
レイリアの気持ちは今まで見えない所があったんだが、好きな人の話題になったときのあの妙な反応や、例の一件をルークが覚えてないと知った時のお怒りだか恥辱の様子をみると、どうやらおめでとう、みたいな感じで(苦笑
この二人の関係は、一度レイリア側から読んでみたい気もするなあ。あの澄まし顔のクールな女性が、内面でルークに対してどんな事考えてるのか、とても知りたいところである。絶対可愛い事考えてるぜ、この女w
さあ、こっから二人の関係がさらにどう進展していくのか、楽しみだぜ! と思った所で……えー、一旦筆を置くって。
完結とは言わないものの、休止状態ってことですか。一迅社に移ってから書き下ろし第一弾が出て、これからだと思ったのに。思ったのに〜〜。