アンシーズ―刀侠戦姫血風録 (集英社スーパーダッシュ文庫 み 4-1)

【アンシーズ 刀侠戦姫血風録】 宮沢周/久世 スーパーダッシュ文庫

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な、なんじゃこりゃあ!!?? ライトノベルにも関わらずこの作品、殆ど<男>しか出てこないじゃないか! 男男男男。主人公も男の子、ヒロインも男の子、仲間も男の子、敵も男の子、男の子男の子。
何を言ってるんだと言われそうだが、事実なのだから仕方がない。何しろ、舞台も男子校だしな!!!
誰もかれもが男、男の、男の子。なんて男くさい作品だ!! まったく、男が迸ってるぜ。男らしさが漲ってる、凄まじいまでに男が揮われまくる物語なのである。

にも関わらずこの作品、男の姿が微塵も見当たらず、どこを見渡しても女の子しか出てこねえ!!??

いやいやお前さん……前述と言ってる事が矛盾してるじゃにゃいか! と怒鳴られそうだが、私は何一つ間違った事は言っていない。
この作品、まったくもって徹底的に女の子しか登場してこないのだ!
主人公も女の子、ヒロインも女の子、仲間も女の子なら、敵対する子たちもみんなみんな女の子。
誰もかれもが瑞々しいまでの女、女の、女の子。女だらけの、女ばかりの、女同士の、ヒミツの花園で百合の花が匂い立つようなかぐわしいまでの物語なのである。

……………(汗

まったく何も間違った事を言っていない、正確にかつ端的にこの作品について語っているにも関わらず、自分も自分が何を言ってるかわからなくなってきましたよッ、にゃははは。
誰だ、これ考えたの。バカだろう(褒め言葉)

厳密には保健の先生は男の子じゃなく、唯一ちゃんと女の人だし、ヒカルもまあ微妙なんだが。
なんにせよ、読んでてこの果てしない倒錯感の目が回ること目が回る事。お陰さまで主人公とヒロインらがイチャイチャしていても、ラブコメがどうのという以前に、これはBLなのか、はたまた百合なのかという点から頭を悩ませないといけない事に。
元々は男の子同士なんだから、予断を排して見るならこれは男の子同士がキャッキャウフウフしているBLになるような気もするが、現実として二人とも女の子だったりするので、もう百合百合してますねえ、と思わないでもないような気もしてくるし。
わ、わけわかんねえ(笑


常識的高校生・木之崎トモは、転入する火群ヶ棚学園高校を訪れた日、戦闘中の金髪碧眼の美少女ヒカルと出逢う。状況を理解できぬまま戦いに巻き込まれたトモに、ヒカルは「カタナを抜け!」と命じる。それは、自らの男を武器へと変換して戦う「アンシー」になることを意味していた!!カタナを抜き、強大な戦闘力を手にするトモ。だがその代償は肉体が女子に転ずることだった!摩訶不思議な学園でトモは名実ともに新たな自分になる!?


自分の男性としての要素を抽出して武器となし、女の子に変身して闘う、という時点から相当アレな設定なのに、そこからさらに自身の男の部分である武器を破壊されてしまうと、男に戻れず女になってしまうという設定が、この物語をシリアス的な側面から言うなら凄絶にして容赦のない物語に、恋愛要素的に言うならわけのわからん混沌にたたき落とす羽目になっているわけで。
挙句に、仲間の力王丸なんぞは元来の容姿の方が可愛らしい女の子(現在の流行で言う所の男の娘)でメンタル面も女の子に限らず、アンシーとして変身すると残念なニューハーフっぽいお姉さんになってしまうという混乱に拍車をかけるような存在で、主人公にベタベタと接近してくる光羽さんは、登場冒頭に現状を理解せぬまま主人公が振るったヤイバによって自身の男を折られた、元男の子の現女の子という、もうどうしたらいいんだというヒロインで。
いや、男が折られた人は世界が改変されて、元々男の子ではなく女の子であったように書き換えられるため、彼女の場合は男の記憶はあっても既に意識は女の子で、身体も女の子だから、もう女の子のヒロインでいいはずなんだけど、でもやっぱり元男の子という要素がどうしようもない倒錯感を感じさせてくれるわけで。
ほんとにこれ考えた人、バカだろう(笑

まあ、ストーリーの骨子が曖昧でシャキっとしていない部分が多かったり、メインヒロインと思われたヒカルがどうにも曖昧な立ち位置で主人公をアンシーの戦いに巻き込んだにも関わらず、最後まで傍観者的な立場に置かれてしまったこと。彼女や777のヨロコさんの話が本筋に絡んでくるのかと思ったら、なんかにおわされるだけで結局主人公の話に関係なく終わってしまって、特にヒカルについては謎もなんもかんもがモヤモヤしたまま終わってしまったので、消化不良の部分が多々あるんですけどね。
でも、このなんとも倒錯感に目を回すような読感は、一度体験して見るのもいいかも。なかなか体験できんぞ、これは(笑