ユーベルブラット 10 (ヤングガンガンコミックス)

【ユーベルブラット 9】 塩野干支郎次 ヤングガンガンコミックス

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嗚呼、ケインツェル。やはりおまえはそこで復讐者としてではなく、一人の剣士としての道を選ぶのか。
つまるところ、彼はどれほど復讐の炎に身も心も焼き焦がし、怒りと憎悪に塗れていようとも、その英雄たる魂は曇る事がなかったということなのだろう。
もし何よりも復讐を優先するのであれば、イェブルの民など無視してしまえばよかった。そして、復讐すべき相手を前に、それよりも旧友の面影を残した若者と剣を合わせることを選んだケインツェル。
その剣は見るものたちの心を洗い、拗れに拗れた民族の絆を再び一つにまとめ、頑なだった若者の鎧をひきはがし、その内側に秘められていた純粋な心を取り戻させる。
彼の闘う姿はあまりに魅力的であり、彼の正体を知らぬものも、本来彼の敵とならねばならない者たちをも引き付け、魅了してしまう。
たとえ姿が変わろうとも、復讐によって国に動乱を引き起こす因となろうとも、彼が剣を振るったあとには彼を英雄と慕う者たちが列を成していく。
真からの英雄なのだ、ケインツェルは。
だからこそに、本来彼とその仲間たちが受けるはずだった栄誉を強奪し、英雄の名を奪った七英雄の卑劣さが際立つのだろう。
またも最後は衝撃的な展開。
本当ならグレンの仇を討ちに来たロズンが、レベロントの所業に対して見せた凄まじい形相が、また印象的だったなあ。
グレンの忠臣でありながらケインツェルに魅せられたこの男は、いったいこれからどういう道を歩むんだろう。彼の行く末もまた、この作品において気になる処だ。