とある魔術の禁書目録(インデックス)〈19〉 (電撃文庫)

【とある魔術の禁書目録 19】 鎌池和馬/灰谷キヨタカ 電撃文庫

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あれ? もう19巻と長く続いているこのシリーズだけれど、ここまで明確にカップル成立したキャラが出たのって初めてじゃないですか?
フラグばっかり乱立するばかりでいい加減フラストレーション溜まってたので、ラストの滝壷の思いの丈が詰まったキスにはテンションがあがりまくってしまいました。シンプルで安っぽいかもしれないけれど、男が一番頑張れるのは大切な人を守るため、というのが一番やっぱりガツンとくるんですよね。

相変わらず、学園都市の治安は悪すぎるわ、政治闘争の基本原則がでたらめで暴力的だわと、オカルト方面や科学部分のハードの物語の構造部分に関わる使い方は非常に興味深いのだけれど、政治論法や国際情勢、組織間のパワーバランスなど個人ではなく集団が動く論理のソフト面が不良同士の抗争程度の感覚でやられているようなもんで無茶苦茶、というのは変わらないのだけれど、故にこそ前巻の国そのものの根幹に関わるような紛争と違って、個人にスポットが当たるとやっぱり面白いんだよなあ。なんか悔しいんだけど、これが面白いったらありゃしない。
明らかに頭がおかしいというか行動原理がイカレている(英国渡航時の旅客機での言動で確信しました。こいつ、おかしい)まさに正義の味方そのものである上条さんと違って、一方通行や浜面のそれは非常に明快で親近感の湧く分かりやすい原動力であり、勇気の発露だというのも大きいんだろう。
特に、コンプレックスでひねた一方通行とはまた違い、浜面のそれは男として普遍的であるからこそ、その熱い思いには感情移入してしまうし、なんだかんだと特別な力を持ち、自分が誰かを助ける事を絶対の事としている上条さんと違って、本当の意味でレベル0の無能力者でありながら、無力を勇気と必死さを武器として覆し、圧倒的な死の予感に歯向かい、絶望に抗い、恐怖に打ち勝ちながら助けなきゃいけない人を助けるその姿は、無条件で惚れてしまう。
こいつは、きっと誰と組んでもどんな集団の中に入っても、下っ端として扱われそうなんだけど、そのくせ皆からなんだかんだと頼られそうな所があるんですよね、イメージとして。どういうタイプのキャラと合わせても、容易にそういう想像が出来てしまうあたり、面白いキャラクターだわなあ。

一方通行も、なんかもう完全に打ち止め至上主義に入ってるよなあ(苦笑 以前はもうちょっと抵抗してた気がするんだけれど、他のやつのロリコン疑惑に、自分には口出しする資格がねえとか呟いているあたり、もう陥落してる!?
彼のいうところの<悪党>も、以前はもう少しダークなにおいが残ってたんだけれど、この巻の言動はもう言い訳のしようのない正義の味方をやってたよなあ、これ。此処までくると、悪党の意味を反転させて使ってるようにしか見えないんだよなあ。
その辺の彼の心情、コンプレックスのことは作中でも言及されているけれど。まあ彼のこれまでの来歴を思えば、堂々と言えたもんじゃないというのも分かるんだけれど、罪と向き合うために厚顔無恥にでも、自分の行為を善行と宣言するのもありだと思うんだけどなあ。

ラストの展開を見る限り、物語もそろそろ佳境に入ってると言う事なんだろうか。主人公三人揃い踏み、というのはどうしても燃えてしまうんだけど、いい様に操られてるみたいで悔しいなあ。でも、燃える。

しかし、この学園都市の暗部を描いたシリーズ読んでると、子供たちが容赦なく汚れ仕事に手を染めている事自体、ムカムカするんですよね。子供にやらすこっちゃないだろう、と。
そんな闇に沈んだ子供たちと比べて、美琴や黒子たちは境遇として非常に恵まれているんだなあ。汚い部分に踏み込まずに済んでいるのにはホッとさせられるんだけど、同時に、けっこう複雑な心境になるもんですねえ。
でも、そういう汚い部分には身を染めなくていいけれど、美琴にはそろそろ一度は上条さんの物語の中に飛び込んでほしいものです。結局彼女、シスターズの一件以外はずっと関わりあえない部外者のままだったもんなあ。インデックスも不遇だけれど、美琴も美琴でヒロインとしては結構不遇な立ち位置にいる気がします。特に次のロシア編ではインデックスは囚われのお姫様状態なのに対し、美琴はまたも部外者のままで終わりそうだし。

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