無限のリンケージ 2 -ディナイス・ザ・ウィザード- (GA文庫)

【無限のリンケージ 2.ディナイス・ザ・ウィザード】 あわむら赤光/せんむ GA文庫

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ディナイス・ザ・ウィザードってサブタイトル、確かに魔術師めいた器用な技量の持ち主だけど、ディナイスのあの暑苦しい筋肉ダルマなガタイを見てしまうと、ウィザードとか言われても詐欺っぽいというか何か騙されてる感を感じてしまうなあ(苦笑
とはいえ、この暑苦しさもまたキャラ立てに一役買っているんだが。あの暑苦しさの大半は見てくれよりも、うっとうしい親バカ加減にあるんだけれど、それ故に最強の敵として立ち塞がりながら妙に愛嬌があって、今回の話の流れにはふさわしい相手だったんじゃないだろうか。
前回はラーベルトの過去の因縁の憎むべき敵に対する復讐劇という側面が強く、どちらかというと競技ではなく旧世界の戦争の延長という感じだったのだけれど、今回は大きく方向転換して競技としての決闘BRTと、そこに挑むラーベルトとそのチームスタッフという形になってて、上手いことスポーツものに舵取りすることに成功している。特に、サクヤとベックスのみに焦点が当たっていたラーベルトのチームスタッフを、ちゃんと全員一人ひとり描いて、話自体も一部リーグに上がったあと連敗続きでスランプのラーベルトをどうやって勝たすのかと、試合以前のところでみんなで喧々諤々と意見をぶつけ合い、アイデアを出し合い、対戦相手が決まるやその対抗策をみんなで練り上げる、という槍を合わせる前の準備段階の描写を非常に重視し丁寧に描いているんですよね。こういう、バックアップスタッフに焦点をあて、本番前の準備段階をむしろメインにして話を進める作品というのは、大概はずれがないというのが、これまでの私の経験則。
お陰で、ラーベルトのスランプの原因というのはわりとあからさまなんだけど、そこにみんなが気づき、総意で以ってバクチのような戦術方針を選択し、最強の敵に挑みかかる展開は、素直にこれは燃えましたよ。
一巻ではサクヤとベックス二人だけのやり取りに終始していた賑やかな掛け合いは、オデットコーチにモニカやケディラ、セシリアが加わることでさらに楽しげなことに。ディナイスのセリフからして、BRTのチームというのはビジネスライクでチームワークというのには程遠いものが多いらしい中、このラーベルトのチームは見てても実にいい雰囲気で、暗い情念みたいなのが漂ってた前巻からの方針転換にも一役買ってる感じ。
対戦相手のディナイスも、前の最悪の卑劣漢と違って、実に堂々とした偉丈夫の戦士であり、少々イカレた親バカという愛嬌もあり、試合相手としては申し分ない相手なわけです。それこそ、相手を排除するのが目的な殺し合いではなく実力を存分にぶつけ合い、これ以降も何度も槍を合わせられる試合であることが喜ばしいと、ラーベルトにBRTを単なる贖罪の場ではなく、自身も楽しんでいい場所だという考えを芽生えさせ、サクヤたちチームスタッフと一緒に戦っているのだと実感させてくれるような、素晴らしい好敵手。
重たい負債を背負って戦うラーベルトですけど、この試合を通じて、なんかすごく良い方に変化してる感じで、このラーベルトならサクヤとの仲も今後進展するんじゃないかなあ。お邪魔虫も増えそうですけどw

一巻感想