L 4  詐欺師フラットランドのおそらくは華麗なる伝説 (富士見ファンタジア文庫)

【L 4 詐欺師フラットランドのおそらくは華麗なる伝説】 坂照鉄平/水谷悠珠 富士見ファンタジア文庫

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堪能した堪能した堪能させられた! 
これぞまさしく<パワー・オブ・ラブ!!>
いいなあ、昨今これほど直球の愛の力を感じさせる物語も珍しい。女の子がたくさん出てくる作品もいいけれど、めぐり合った男女の一途な恋物語もいいもんじゃないですか。
バーンが飲み込んでしまった<罪人竜の息吹>がとうとう暴走を始めた上に、自身が行ってきた鎮静化がバーンの生命そのものを削っていたことを知ったアーティアは、<アビスパス>に彼を預け、自分の生誕の秘密を知る村長と母竜に真実を聞くために故郷に戻る。
離れ離れになった二人。思えば、この物語が始まって以来、この二人がこれだけ遠くに離れてしまったのって初めてだったんですよね。逢えなくなった事で、声を聞けず、顔を見れず、触れ合えなくなった事で、余計にお互い相手のことがどれだけ大切で、大事で、大好きであったかを思い知るはめになった二人。そもそも恋という感情そのものを知らなかったアーティアが、抱えきれないほど溢れかえってくる想いの奔流におぼれていく様が、いっそ凄絶ですらある。
母竜たちに訴える、今まで知らなかった感情、湧き上がる思いの丈をぶちまける姿のなんと眩しかったことか。
これほど必死で、必死で、気が狂いそうな叫びの、なんと胸を締め付けられたことか。
そう、恋とは「落ちる」ものなのだ。

そして、恋は愛へと昇華され、力となる。

罪人竜の力を、最後まで最強の武器ではなく、二人が乗り越える障害として扱っていたのも良かったなあ。バーンは所詮口先任せの詐欺師であり、嘘つきで嘘のつけない好きな女の子のために頑張るやせ我慢の男の子なんだから、そんな星を滅するような力を振り回すようなキャラクターじゃないんですよね。だから、最後まで罪人竜が二人を苦しめる害悪であったのは、地味に徹底していて素晴らしかった。

素晴らしかったといえば、あの人の再登場もそうですね。あれは、バーンにとってもアーティアにとっても消せない傷跡だっただけに、そこにもちゃんと傷を癒すためのフォローを持ってきてくれたのは、素直にジンと来た。

そんでもって、最後のオチがまた最高なんですよね。故郷を旅立つアーティアのあれは、彼女の人間的な成長やなんやを含めて、無茶苦茶かわいらしかった。恋する女の子は、心に翼が生えているかのようで、その手を掴んでくれる人がいるならばきっと、この荒野をどこまでも飛んでいけるに違いない。
もう、ぎゅーーっと抱きしめてあげたくなるくらい、素敵な恋の物語でした、はい。

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