機巧少女は傷つかない 1―Facing“Cannibal Candy” (MF文庫 J ) (MF文庫J)

【機巧少女は傷つかない 1.Facing "Cannibal Candy"】 海冬レイジ/るろお MF文庫J

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かっ、かかか、かっけぇぇぇぇ! なにこの主人公、べらぼうに格好イイじゃないですかよっ♪
思わず「スカしてんじゃないわよっ、ふん!」とか無意味にツンデレしたくなってしまうほどカッコイイ!
いやあ、これは惚れる。惚れざるを得ない。さすがは【グリモアリス】の海冬レイジ先生というべきか。人付き合いが下手糞で向こう気ばかり強く孤独な、でも心優しくひたむきな少女をメロメロにしてしまう手腕に関しては、他の追随を許さないところがある。
ヒロインの絶体絶命のピンチに颯爽と駆けつける主人公というのはありがちといえばありがちなんだけれど、嵌まるとやっぱりこれ、破壊力というか殺傷力が必ず殺すと書いて必殺のレベルなんですよねえ。トキメキすぎて死ぬかと思った(笑
なによりここで肝心なのは、主人公が救うのがヒロインの生命だけではなく、ボロボロに傷つけられた彼女の心をも救うところなのでしょう。否定され騙され傷つき立ち上がれないほど打ちひしがれた心を、生き様を、誰にも理解されず孤独の中に置いてけぼりにされていた思いを、ちゃんと認めて、理解してくれて、全肯定してくれた時の嬉しさが如何ばかりか。彼自身には本来関係の無いことなのに、傷つき血みどろになりながら、お前は何も間違っていない、何も悪くは無い、だから助けると言われた時の気持ちはどれほどのものか。
そりゃあもう、分厚い装甲に鎧われたハートだろうと、ズキュンと射抜かれるに決まってる。
こんなにストライクに心奪われる<恋に落ちる瞬間>を目の当たりしたのは久々で、相好がニヤ崩れて仕方ありません。
やっぱり海冬さんの手がける主人公って、バリバリの<騎士さま>だよなあ。そのすがすがしいところは後ろ暗い目的のために邁進しようとも、それを叶える道については甘さを捨てず、むしろ壮絶な覚悟を持ってその甘さを貫こうとしているところか。
なんにせよ、その姿勢は痛烈なほどカッコいい。
【グリモアリス】の誓護もそうだったけど、何気にこの主人公・雷真って女の子のあしらい方、上手いんですよね。ヒロインのシャルロットはプライドの高い跳ねっかえりのツンデレ娘だし、自動人形の夜々は微妙にヤンでるしと、扱い方を間違えると一方的に酷い目に遭いそうなものだけど、実に絶妙にツンの部分をくすぐり、ヤンの部分は突き放しては宥めてと、まったくもって卒が無い。
シャルの自動人形であるドラゴン型のシグムントがまた、暴走しがちなシャルにとって諭し役、同じ自動人形の先達として夜々にとっても先生みたいな感じになってて、別にシャルたちと雷真たちがコンビを組むというわけじゃないんだけれど、この二人と二体のキャラ構成はバランスの取れたチームという感じになってて面白い。

ストーリーの方も、元々富士見ミステリーで書いてただけあって<魔術食い カニバルキャンディ>と呼ばれる連続人形破壊犯の正体露見に至るまでの流れもしっかりしていて、読み応えがありました。登場人物構成からして、犯人はあの人というのが定番だったんだろうけれど、その人の普段の描写のせいか、最後まで意識上から外してたもんなあ。あれはちょっとやられたと思ったし。
魔術と人形兵器の隆盛目覚しい前世紀という時代設定、世界観も雰囲気出てて、新シリーズスタートの掴みとしては、これが最上の部類じゃないでしょうか。
ハート、鷲掴みにされましたし。これは、次回以降楽しみだ。
シャルも、これから檻から解き放たれた猛獣みたいに、ツンツンしながらデレデレしまくりそうだしw